第10回「パートナーシップで進めるまちづくり」町民会議

日時

 平成18年8月8日(火)19:00~20:50

場所

 中標津町役場301号会議室

出席者

 31名(町民委員14名、プラネット15名、ファシリテーター:東田秀美氏、町長)

会議次第

  1. 開会
  2. 議題
    (1) 今後のグループワーク発表について
    (2) アンケート調査について
    (3) 勉強会
    住民と役所の「幸福な結婚」を求めて
    ~中標津方式のパートナーシップを発見しよう~
    講師:北海学園大学法学部教授 樽見 弘紀 氏
  3. その他
  4. 閉会

配布資料

  • 第9回会議結果

結果概要

町長より挨拶

 昨年の11月より難しい内容の会議に精力的に参加され、心から感謝しています。今後も町民と行政が理解を深めながらまちづくりにご努力いただきたい。
 北海道市町村長研修会で気になるアンケート調査結果がありました。対人信頼関係調査、フィンランド、韓国、日本の他人を信頼してるかどうかという調査。
 
  1. ほとんど人は他人を信頼している
    フィンランド73.6% 韓国48.2% 日本28.2%
  2. この社会では気をつけていないと誰かに利用されてしまう
    フィンランド25.3% 韓国79.0% 日本79.6%
  3. ほとんどの人は善良で親切である
    フィンランド82.5% 韓国74.7% 日本37.8%

 このアンケートは、いかに日本人は他人を信頼していないかという表れであり、信じているフィンランドが急成長している。日本人として反省しなければならない。
 お金で買えるものは何の価値も無い、お金で買えないもの、人と人との絆、協働、連帯感などお金で買えないものこそ価値がある。パートナーシップで築くまちは、究極ところいかに人と人とが信頼しあって、連帯、協働しあって、信じて、支え合っていけるかどうかがキーポイントであると思っている。
 今後ともよろしくお願いします。

議題

1、今後のグループワークの発表について(ファシリテーター東田)
 前回、発表していただいた内容を取りまとめました。この内容でよろしいか次回話し合いをしますので、よく読んでおいてください。
 スケジュールについて、対等な関係を築ける場づくり、目的の共有一個別課題の対応へ、共通の話となっているため、発表を11月14日にまとめて発表したい。
2、アンケート調査について
  • 町民向けアンケート内容の確認
  • 事務局で高校生向けのアンケートを検討している。
 高校生向けにアンケートを実施することについてどうか、またアンケートの項目について皆さんから意見をいただきたい。
 高校生と町民会議で話し合いの場を設けてはという意見をお持ちの菅野さんと、普段教育問題についてお話いただいている佐藤さんの意見は個別に聞きたいと思っています。
 高校生向けアンケート項目について意見のある方は、事務局に言ってください。

○出された意見
  • 町民アンケートと高校生アンケートは同時期に実施したほうで良い。
  • アンケートの趣旨は理解するが、話し合いの場を持って意見を聞いたほうが良い。高校生にまちづくりについて考えてもらう方法で実施してはどうか。

勉強会

住民と役所の「幸福な結婚」を求めて
~中標津方式のパートナーシップを発明しよう~

北海学園大学法学部 樽見 弘紀
はじめに:事の始まりはお見合いか恋愛か・・・それが問題だ
 パートナーシップ、協働は難しいが、幸福な結婚たる新しいパートナーシップを見つけるべきである。
 正しい結婚は誤解のうえに成り立っている。(オスカーワイド)

 パートナーシップも様々な誤解で成り立っている。

 第1の誤解は、あたかも相思相愛のように語られている。役所も住民もパートナーシップでやりたいと語られがちである。パートナーシップ、コラボレーション、協働など、そもそもが行政テーマである。
 ほとんど町は住民が望んだのではなく、首長などが選挙公約として語られ、当選するとパートナーシップがまちづくりの前提条件となっている。
 また、指定管理者制度が始まり、2003年度に自治法が改正となり、自治体は自分達が持っている地域の公共施設を、2つの管理の仕方にしなければならない。
ひとつは直営管理で、直接自分達(行政)が運営する形。もうひとつは、企業、NPO、任意団体を問わずに民間にその分野をまかせる。後者を指定管理者制度と言う。
 2003年の自治法改正のように、天から降ってきた、皆さんの前に現れたパートナーシップである。
 パートナーシップの多くはお見合い結婚である。ある町では、市民の半分は、税金を払っているのだから、これまでどおり役所が粛々と様々な公共サービスを担ってほしいと思っている人がいる。残りの半分の人は、自分達でやりたいけど、行政と一緒なのは御免だという人もいる。
 多くのまちで、様々な理由で、どうせ役所と住民が一緒にやらなければいけないのであれば、そこから始まるワクワク感を醸成しながら新しい結婚のあり方を考えていったほうが良いと思う。
 誤解の2番目は、協働は結果的に安上がりの役所をつくるという誤解がある。夕張市だけでなく、全国どこの市町村も財政事情は苦しい。財政事情が苦しいまちでパートナーシップがうまくいくと、あたかも役所の仕事が減って安上がりの公共サービスが実現できるという誤解がある。
 首長、職員の多くは安上がりの役場、小さな政府を目指していると言うが、現実はそううまくいかない。住民を巻き込んだ公共サービスを行うということは、公共サービスの素人であり、事故があった場合はその事故処理をしなければならなく、自治体職員が減るかというと減らないと思う。
 住民に何かをお願いするときに、きちんと説明責任を果たさなければならず役所が安上がりで済むが、その分だれかが引き受けなければならない。(ゼロSUM)
 でも、やっぱりパートナーシップは必要である。
 ひとつは、現在の市民(市民活動の意味での市民)はわがままである。悪い意味ではなく、従来の役所に従順な辛抱強い市民ではなく、一人ひとりが個を持っていて公共サービスに期待する思いが違う、それをわがままな市民といっている。
 単に元気に暮らすだけではなく、多様な欲求を小さい役所にぶつけてくる。役場の職員はその欲求に応えようとするが、多様化し応えるのは困難である。
 役所の仕事はタコ足化している。納税者、市民の皆さんの欲求が多様化している。市民一人ひとりの欲求はタコ壷化している。十人十色の欲求をもっていて、それに役所が応えようとしても無理である。自然に、役所が自分達の欲求に応えられないのであれば、自分達も公共サービスに参加したいと思うようになる。
 幾つかの誤解の下に成り立つパートナーシップをどのように実現していけばよいか。
「幸福な結婚」の条件1: 気配りこまやかな「仲人」の役割が必要
・触媒組織を発明しよう
・事例1:北見市の「北見テーブル」
 幸福な結婚としてのパートナーシップの条件のひとつは、役所と住民とを上手に結び付けてくれる、運営をサポートしてくれる仲人を見つける。
 平成17年度より北見タウンネットワーク懇話会の会議に参加している。約30人のメンバー。相思相愛であったか、市長の選挙公約で新しい自治の形として協働を議論する。モデル地区を決め、やってみて実現できれば全市に広げるところから始まった。
 マスト(やらなければならない協働)である。
 雰囲気の悪い会議でスタートしたが、5人の世話人の努力で少しずつ皆さんの気持ちがひとつになってきている。
 北見テーブルを作る。
 モデル地区を2箇所選んで、新しい方式で地域づくりを実施してもらい、次年度以降に繋げていく。
 仲人組織、触媒方式。

 ~北見テーブル~
 3つセクター(行政セクター、住民セクター、企業セクター)から人が参加し、定期的に会議をもち協働のテーマを掘り起こし対処方法などを話し合うのが北見テーブルである。
 行政からは、市民活動の担当者が参加するのではなくて、予想される課題の担当部長が参加する。(部長はある程度の決定権があるが、個人の立場として参加) 陳情型にならないように。部長のの行政経験と知識の中から、案件の解決策を探る、実行(アクションプラン)につなげていくことができる。どのように触媒組織をつくるか。パートナーシップを本気で取り組むことを内外に知らしめることが大事である。
「幸福な結婚」の条件2: 「家計」の独り占めはもってのほか
・役割分担を担保する資源分配を考える
・事例2:市川市(千葉)の「1パーセント支援制度」
 行政も市民も、協働を進めるにあたり市民が手弁当で集まると思っている。
 市民の皆さんが余った時間を利用し、地域活動に没頭する、ボランティアや寄付などにより活動が支えられる。
 結果的に役所では人件費など経費が浮き、安上がりの行政ができると思うのだけれど、全国ではもっと踏み込んだ協働が話し合われている。

 ~千葉県市川氏の「1%支援制度」~
 自分達で納めた住民税の1%の使途を自分達で決めるという制度。(投票制度)
 従来、役所は納税者が納める税金を使って公共サービスを行ってきた。パートナーシップで公共サービスを行おうとしている現在、そのような団体に対して税金の一部をまわして、新しいアイデア、新しいやり方で新しい公共サービスを実現してもらう原始にする。
 2005年実績は、6266人の参加で13,400千円が市民団体の活動に使われた。反対、税金の使途を納税者が選ぶということは、民主主義の根幹を揺るがすと考える方。税金を納めている人達に参加権があって、税金を納めていない人は参加できないという不公平な制度であるという考えもある。
 市民活動を応援するのに、1%支援税制だけが選択肢ではない。ボランティア。寄付などの方法もある。この制度には沢山の可能性がある。たった1%の公共の目的を考えるということは、これまで行政に丸投げしてきた99%の使い道についても自分達の思いを巡らせることができる制度であると思う。
 税金さえ納めていれば、お上(役所)が考えてくれていた。お上(役所)が考えてくれる一律公平な公共サービスでは、わがままな住民ニーズには対応できない状況にある。市民にパートナーシップで公共サービスに参加してもらうのであれば、市民にばかり持ち出しを強要しないで、税金の使途を市民が決定できる制度も必要であると思っている。
 市民活動団体は、これまで役所に対して自分達の活動を知らしめる努力をしてきたが、これからは地域の人たちに対して自分達の活動を理解してもらう必要が出てきた。これからは、対等な場づくりについて議論されると思いますが、責務と権限を共有することが大事である。
「幸福な結婚」の条件3: 「地縁」「血縁」に劣らない「選択縁」
・「行政区」の境界線がぼやけ、「住民」の意味内容が拡散している
・事例3:伊達市の「心の伊達市民」
「地縁」「血縁」は大事であるが、「選択縁」も大事。
  選択縁:自分で選び取って中標津と縁を選び取りたいという人
 全国に中標津町に対して良いイメージを持っている方がたくさんいる。そのような方を味方につける動きが全国の自治体で始まっている。全国各地で公演するなかで、地縁、血縁ばかりに頼らずに、外から目を向けてくれる人たちを仲間に入れてはどうですかという話をし、中標津であれば「心の中標津町民」という考えにたったらどうですか「心の○○市民」という話をしてきました。
 ~伊達市の「心の伊達市民」~
 2006年1月から心の伊達市民を実施。全国から600人の問い合わせがあった。市民団体の「心の伊達市民コミュニケーションクラブ」に加入し、バーチャル的に住民登録をし、バーチャル的な住民税を納めてもらう。1口1000円納める。
  1. 口数に応じて年1回、伊達市の特産品が送られてくる。
  2. 伊達市のまちづくり情報誌が送られてくる。
  3. 心の伊達市民の名刺が送られてくる。(相乗効果大)
 1ヶ月後の統計 2月10日現在(どのような人が登録しているか)
  • 伊達市のまちづくりや文化に興味のある方 20%
  • 湘南ロータリークラブ関係者(ロータリークラブ交流関係) 16%
  • 伊達市出身者 16%
  • 将来移住予定者 12%
  年代別では、50代27%、60代39%で、団塊の世代が多い。

 この新しい試みは、役所対住民の対立を超えつつある。
 心の伊達市民の住民登録をする場所は、市役所ではなくNPO、任意団体であり、住民と行政が一緒になり、アイディアは行政職員が考え、行政組織に作らず住民の方に参加してもらっている。住民と行政が一緒になりバーチャルな役所をつくった。しゃれ、遊び感覚などワクワク感を醸成するやり方。
 小さな成功体験を共有するやり方として、わかりやすい、面白い取組を始めた。中標津のパートナーシップの議論の中で参考になればとご紹介しました。
「幸福なパートナーシップ」実現の7つのキーワード
  1. 小さな成功体験
    住民と自治体相互の「できる感」の醸成
     
  2. インセンティブ(動機付け)
    それぞれのアメとそれぞれのムチのデザイン
     
  3. ヨソモノ
    まちぢからの再発見
    ・心の中標津町民 
     
  4. 焼き直し
    自治体政策の相互参照
    ・コピー、まねをしても良い。でも骨のあるまねをしよう。
    ・自治体政策の相互参照
    ・良い政策が生まれると飛び火するように全国に広がっていく。
    ・1%支援税制など(恵庭市、南幌町、札幌市など)
     
  5. 中標津方式
    些細でもきらりと光る「中標津発」
     
  6. アウトリーチ
    段階的な達成をまちの内外に不断に知らしめる努力
    ・人々に自分たちの活動をかわってもらう努力
    ・中標津のパートナーシップもアウトリーチする
     
  7. 足による投票(チャールズティポー)
    ・自分が住みよい町に引っ越す。
    ・自分自身の求める公共サービスを求める。移住である。
    「ヒトを幸せにするまち」中標津を求めて
おわりに: 自治体間競争にのるかそるか・・・それが問題だ。

委員からの質問

「質問」 
 町民会議の出発点は、町の財政が大変だから町民もまちづくりについて考えなければならないということだったと理解している。出発点が清純ではなく、あかがついているような気がする。
 会議をやっていて何をするのかと聞いたときに、パートナーシップのルールづくりであるという。先生の話を聞いていて、ルール作りという言葉が出てこなかったがどういうことなのか、お尋ねしたい。

「回答」
 ルールづくりというのは、何かを規制するルールではないと思う。
中標津町の町民会議で議論されているのは、やり方のパターンを増やそうとしている。北見市でもルールづくりではないが、どのような形で行政と住民が一緒に行うやり方がよいか、何通りにも議論している。組み合わせのパターンを増やすということではないでしょうか。ここに張ってあるラベルワークのまとめを見させていただきましたが、いろいろなパターンが出てきていて、これをどのようにまとめるか大変だけれど面白いと思いました。
 これから先、皆さんは苦労すると思いますが、方向としては会議は沸いていると思いました。
「質問」
 各自治体で問題となっているの第3セクターがあるが、第1、第2があって第3セクターとなると思うが、第3セクターとはどのようなものか。

「回答」
 日本の第3セクターの言い方は特殊である。
 世界標準では、第1は政府・国・自治体で、第2は市場セクター・市場で売り買いしている営利企業、第3セクターは政府でも企業でもない、市民セクターと言ってみたりNPOなどと言ってみたりしますが、日本だけが霞ヶ関の役人が欧米で言われている第3セクターの言葉だけ持ってきて、官民共同体のことを第3セクターと言い出した。
 官と民が出資をするやり方を1、2ではない3セクという言い方をした。本当は、市民の領域ではなくて官民共同体とした。公益法人改革関連三法が設立し、財団法人、社団法人が簡単に作れるようになった。登録制になる。国の許可が必要なくなった。
 本来の意味での第3セクター・市民セクターが役所とのパートナーシップの受け皿となり広がっていく。