子どものむし歯予防の話

中標津町保健センター 健康推進課 健康推進主査 表 美香

 皆さんは最近むし歯の子を見たことがありますか?昔はほとんどの子がむし歯で、特に前歯のむし歯は進行止めの薬で真っ黒になっている子が多く、目立っていました。そのため、昔と比べるとむし歯の子が随分少なくなったと感じている方が多いと思います。たしかにグラフ1を見ると、だんだんむし歯が減ってきているのがわかります。しかし、よく見ると昨年度の結果はその前年度よりも増えてしまっていることがわかります。更に札幌の3歳児と比較すると中標津の子どもは非常にむし歯が多いことがわかります(グラフ2)。
 むし歯の予防には、『砂糖の摂取制限』『歯磨き』『フッ素塗布(歯質強化)』が効果的だということは最近ではよく知られていますが、特に乳幼児期のむし歯予防にはなんと言っても砂糖の摂取制限です。私達が普段の歯科相談の時に感じているのは、いくら歯磨きやフッ素塗布を頑張っても、甘い物の飲食習慣がある限りむし歯は進行するということです。
 甘い物を飲食する理由は、「好きだから。」「欲しがるから。」と言う方が多いですが、よく考えてください。最初から甘い物を好きな赤ちゃんはいません。欲しがってもいないのに大人が与えるから好きになってしまうのです。甘い物が食べられなくて、ジュースが飲めなくてかわいそうなんてことはありません。大人が与えなければ、そんな食べ物飲み物があるなんて知らないからです。特にむし歯の原因になるのは、ジュースとアメです。ジュースは前歯をむし歯に(写真1)、アメは奥歯をむし歯に(写真2)してしまうことが多いです。小さい子のむし歯の治療はとてもかわいそうで、子どもを連れて行く親にも大きなストレスになることが多いです。また、乳歯がひどいむし歯になると乳歯の下で作られている永久歯が、出てくる前にむし歯になってしまったり、生え換わりがうまくいかず歯並びが悪くなったりします。更に、砂糖の摂取はむし歯菌を増やし、口の中に住み着かせます。一度住み着いてしまうと除去するのは難しいため、将来、いくら歯磨きや甘い物に気をつけていても、むし歯になりやすいお口になってしまう場合が多いのです。
 子どものきれいな歯を守ってあげられるのは、父母、祖父母の皆さんだと思います。ぜひ今日から、周りの大人が協力し合って気をつけましょう。