コロポックル 第11集
昭和41.12 発行 札幌南高等学校郷土研究部
目次
- マス川遺跡
- 2号竪穴(住居跡)平面図
- 2号堅穴(住居跡)出土土器
- 9号竪穴(住居跡)出土土器
- 土器拓図
マス川遺跡
は標津川との合流点近くのマス川沿いにある。遺跡は舌状台地上に位置し、数十個の竪穴が確認されている。2号住居址及び9号住居址は台地の先端近くに存在し、台地の先端からはマス川がすぐ近くに流れているのが見おろせる。台地上には白樺や萩が生えていて見通しは悪い。台地下は湿地帯が続きヤチボウスが生えている所もあり歩きにくい。
2号住居跡平面図
2号住居跡出土土器
- 66:2.8.6 (2号8区6層出土の略) 色調暗褐色。口唇に縄文を有し、口縁上部は外側に張り出している。口唇の隆起はなだらかであると思われる。
- 69:2.5.6 色調茶色ないしは黒色。口縁部に約8o間隔で6条の条線文が施されている。1対の隆起がありその下に上下4o間隔で縄文が施されている。器形はハチ形。
- 70:2.5.6 色調こげ茶ないしは黒色、器形は壺形。口唇部の隆起は1対もしくは2対でその1対の下には垂下り及び円形貼付文が施され、垂れ下がりの上には約4o間隔で刻文が施されている。口唇部にも同様の刻文がある。口縁部には縄文2本を1組にしたJ型の文様が連続して施してある。同部の文様は縦行文様、底は平底、J型の文様の施された土器は2号3区6層からも出土している。
- 71:2.5.6 色調黒褐色。炭化物が口縁部に付着している。中央のくぼんだ隆起を1対有1。口唇部には縄文が施されている。口縁部には2条の条線文が約10o間隔で施されている。土器片接着の為の小穴がある。
- 72:2.5.6 色調暗褐色。器形は深ハチ型。底は器形の割りに小さい。口唇部には2対の隆起があり、明確な彫りの深い縄文が施されている
9号住居址出土土器
- 1:9.3.3 色調は黒色に近い。口縁部に2条、同部に3条のソーメン状の貼付文を有する。上から3番目のソーメン文より上の部分、一番下のソーメン文より下の部分は無文になっている。無文以外のところの部分は約6o間隔で刻文が施されている。刻文に囲まれた四角形の上下の内角約81°、左右の内角約100°、胎土の色調褐色、全体に薄手で底部が薄く、口縁部がやや厚い、いわゆるオホーツク式土器と擦文式土器の融合型、言うならば器形、同部の刻文線はサツ文式、色調、胎土、ソーメン文はオホーツク式の特徴である。この土器はほとんど同じ文様の土器が近くの当幌遺跡から見つかっている。
- 4:9.4.5 色調白っぽい褐色。胎土に砂を含む。やや磨滅している。
- 2:9.3.5 色調こげ茶。口縁上部はやや外側に張り出している。口唇に縄文を有す。
- 3:9.3.5 色調暗褐色。口唇は尖り外側を向いている。
- 5:9.3.5 色調白のみの強い暗褐色。底部と思われるが破片が小さいため不明。
- 7:9.4.5 色調はこげ茶ないしは灰黒色。器形は小型で文様は横行縄文が施されているが炭化物が付着して不鮮明。底は平底か。
- 8:9.4.5 色調黄褐色乃至は茶褐色。中央のくぼんだ隆起が一対あり、その下に小穴があいている。隆起からは1対の貼付帯が垂れ下がり、肩部で曲がって反対側の隆起へと続いている。貼付帯上、及び貼付帯の上側、下側に15〜20o間隔で縄による刺突文が施されている。貼付帯の形態については、2号の24、67と同じである。底は平底か。
- 9:9.3.6 色調暗褐色。口唇は丸みをおび、縄文が施されている。口縁は外に腕曲1。炭化物が付着している。
- 10:9.1.6 色調茶褐色。口縁部、口唇部は無文。
- 11:9.2.6 色調白っぽい褐色。口縁部やや厚手で口唇に縄文を有する。
- 12:9.4.6 色調こげ茶。炭化物が付着している。口唇部に縄文が施されている。
- 13:9.4.6 色調こげ茶。口縁最上部がやや外に腕曲してる。口唇に刺突文らしきものがあるが不明確。
- 14:9.4.6 色調は白っぽい褐色。口縁上部がやや外側に張り出している。文様は不明確。
- 15:9.3.6 色調灰色をおびたこげ茶。口縁部はやや厚手。口唇に縄文を有す。胎土はもろい。
- 16:9.4.6 色調はやや赤みを帯た明褐色。口縁最上部は外側に腕曲している。2条を1対とする縄文4対を有する。薄手である。
- 17&18:9.4.6 16とと同一固体の土器。口縁に平行な縄文の下部はく普通の縄文。
- 19:9.4.6 色調灰色を帯びたこげ茶。底のまわりにきざみ目を有する。底は平底。上部は表面が薄利している。
- 20:9.4.6 色調は黒色に近い。約6mm間隔で、6条の条線文を有する。炭化物が付着している。
- 21:9.2.6 色調こげ茶。口縁最上部はやや外側に張り出している。刺突文が上下に3列並び、口唇にも同様の文様を有する。刺突文と刺突文の間隔は約7mm。
- 22:9.2.6 色調はこげ茶。上部には炭化物が付着し口唇は不鮮明な縄文を有す。土器片接着の為の穴がある。
- 23:9.4.6 色調茶褐色。口唇部の外側は内側よりも高く、約3o間隔のきざみ目を有する。口唇以下左右に平行な縄文を有する
- 24:9.4.6 色調白っぽい茶色。文様は撚糸文。
- 25:9.3.6 色調茶褐色。底の破片であるが縄文が施してある。平底である。
- 26:9.1.6 色調は灰黒色。目の荒い彫りの深い縄文が施してある。いわゆる北筒式土器。
- 27:9.2.6 色調はこげ茶ないしは黒色。口縁部に外からの突瘤文が15〜20o間隔で施してある。口唇は無文。同部の文様は縦行縄文。
- 28:9.2.6 色調はこげ茶ないしは黒色。口縁部に炭化物の付着がある。22と同一個体のものか。
- 29:9.3.6 色調はやや灰色を尾日田暗褐色。口縁部が外側に腕曲している。口唇は無文。口縁部に1条ないし2条の平行な縄文を有する。同部は短い縄文を施したためか無文のところもある。
- 30:9.1.6 色調は黒色に近い。口縁部に4条の縄文を有し、1番上と2番目、3番目と4番目のそれぞれの間に刺突文が施されている。刺突文の間隔は約6o。縄文の間隔は上からそれぞれ6.8.6o、口唇部にも同様の刺突文を有する。29と同様縄文の施されていない部分がある。
- 31:9.1.6 色調は明るい茶色。擦痕文のみを有する。底は揚底ではないが心持ち揚がっている。底の中央部はやや厚手。
-私考-9号住居址
3区の一部に壁らしきものを発見したが、床面は遂に発見されず。遺物は3〜5層では3,4区から、6層では1,4区から多く出土している。内から外へ突く突瘤文を有する土器片は1片のみ。他は全て外から内へ突いたもの。2号の土器の突瘤文が全て内から突いてあるのに対して大きな相違がある。口縁部が外側に腕曲しているもの(bX他)が3〜4片出土しているが2号では見られない。又、9号2号の両竪穴から器形、貼文帯の施し方のほぼ同じもの(9号のbW、2号の24,67)が見つかっている事にも注目したい。
参考図
Masu2号8区6層
Masu2号5区6層No69
Masu2号5区6層No70
Masu2号5区6層No71
Masu2号5区6層No72
Masu9号1区6層No31
Masu9号?区?層No7
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