○中標津町自治基本条例
平成24年1月1日条例第1号
中標津町自治基本条例
目次
前文
第1章 総則(第1条―第4条)
第2章 基本原則に基づく制度(第5条―第12条)
第3章 町民(第13条・第14条)
第4章 町内会及び町民活動団体(第15条―第19条)
第5章 議会(第20条―第23条)
第6章 行政(第24条―第26条)
第7章 議会と行政の関係(第27条)
第8章 行政運営(第28条―第34条)
第9章 連携及び交流(第35条・第36条)
第10章 条例の見直し(第37条・第38条)
第11章 条例の位置付け(第39条)
附則
中標津町は、東経145度、北海道東部の内陸に位置し、知床から摩周、阿寒に連なる山々に守られ、標津川の流れに育まれてひらかれたまちです。
明治の末に始まった原野の開拓は、先人たちのたゆまぬ努力や助け合う心により、冷害凶作などの困難をのり越え、酪農地帯をつくりあげ、さらに、鉄道の分岐点となった市街地では、商工業の発展により、周辺から人が集まる中核的な都市へと進展してきました。
わたしたちは、あらためてこのまちの風土や歴史を知り、次世代を担う子どもたちに胸を張って誇れる故郷を築くため、澄みきった空気、豊かな緑、きれいな水を守り、人と人とのつながり、人と自然との共生を理想とするまちにしていかなければなりません。
そのために、「みんなの力で明るい豊かなまちをつくる」という町民憲章を尊重し、自ら考え、行動し、決定することによる町民が主体の自治の実現の最高規範として、ここに中標津町自治基本条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、中標津町の自治の基本理念と基本原則を定め、町民の権利及び役割並びに議会及び行政の責務を明らかにし、安心して心豊かに暮らすことのできる地域社会を築くための基本的な事項と制度を規定することにより、町民が主体の自治の実現を図ることを目的とします。
(用語の定義)
第2条 この条例で使用する用語を、次のとおり定義します。
(1) 町民 町内に住所を有する人(以下「住民」という。)、町内で働く人、町内で学ぶ人及び町内で活動する法人その他の団体をいいます。
(2) 議会 住民から選挙で選ばれた町議会議員によって構成される意思決定機関をいいます。
(3) 行政 町長及び執行機関(教育委員会、選挙管理委員会、監査委員、農業委員会及び固定資産評価審査委員会)をいいます。
(自治の基本理念)
第3条 町民、議会及び行政は、中標津町民憲章を尊重し、安心して心豊かに暮らすことのできる地域社会を築くため、町民が主体の自治を推進することを基本とします。
(自治の基本原則)
第4条 町民、議会及び行政は、次の原則に基づき、中標津町の自治の実現を図ります。
(1) 情報共有 議会及び行政が持つ情報を積極的に公開し、説明することにより、町民と共有することをいいます。
(2) 町民参加 町民が暮らしやすい地域社会をつくるために、主体的にかかわり、行動することをいいます。
(3) 協働 町民、議会及び行政が共通の目的を実施するために、それぞれの役割と責任により、相互の立場を尊重し、対等な関係に立って協力することをいいます。
第2章 基本原則に基づく制度
(情報共有)
第5条 議会及び行政は、町民と情報を共有するため、次の制度を設けます。
(1) 議会及び行政の情報を正確に分かりやすく伝える制度
(2) 議会及び行政の会議を公開する制度
(3) 議会及び行政が保有する文書その他の記録を町民が請求する制度
2 議会及び行政は、その保有する情報を統一した基準により管理し、保存しなければなりません。
3 前項に規定する基準及び第1項の各号に規定する制度に関し必要な事項は、別に条例で定めます。
(個人情報の保護)
第6条 議会及び行政は、町民の権利や利益が侵害されることのないよう、議会及び行政が持つ個人情報を保護しなければなりません。
2 前項に規定する個人情報の保護に関し必要な事項は、別に条例で定めます。
(町民参加の機会の確保)
第7条 議会及び行政は、次の各号に規定する事項を実施する場合は、町民参加の機会を確保します。ただし、法律及びそれに基づく政令に規定するもの並びに緊急を要するものは、町民参加を求めないことができます。
(1) 町民に義務を課し、又は町民の権利を制限する内容の条例を制定、改正及び廃止するとき。
(2) 町民の生活に大きな影響を及ぼす施策を決定するとき。
(3) 広く町民が利用する公共施設の管理運営方法を決定するとき。
(4) 総合計画基本構想及び基本計画(以下「基本計画等」という。)並びに分野別の基本的な計画の策定又は見直しをするとき。
(5) 施策を効果的かつ効率的に推進するための行政評価を実施するとき。
2 前項の各号に規定するもののほか、町民参加が有効と思われる場合は、町民が参加できる機会を確保します。
第8条 議会及び行政は、青少年及び子どもに対し、それぞれの年齢にふさわしい方法により、町民参加の機会を確保します。
(町民参加の方法)
第9条 議会及び行政は、必要かつ適切な時期に町民参加の機会を確保し、次の各号に規定する方法を活用します。
(1) 審議会等への委員としての参加
(2) 意見交換会等への参加
(3) アンケート調査等への意見表明
(4) 町民意見募集制度(パブリックコメント)への意見表明
(5) その他適切な方法
2 前項の各号に規定する方法に関し必要な事項は、別に定めます。
(町民の意見提案への対応)
第10条 議会及び行政は、前条の規定により町民の参加によって寄せられた意見提案に対し、誠実かつ迅速に対応し、総合的に検討します。
2 議会及び行政は、意見提案の検討を終えたときは、速やかに多様な方法を用いて、意見提案の内容、検討結果及びその理由を公表します。ただし、中標津町情報公開条例(平成12年条例第11号)の規定により公表することが適当でないと認められるときは、この限りではありません。
(住民投票)
第11条 町長は、次の各号に規定する事項のいずれかに該当し、議会が住民投票条例を議決した場合は、住民投票を実施します。
(1) 町議会議員と町長の選挙権を有する住民が、地方自治法(昭和22年法律第67号)の規定に基づき、住民投票条例の制定を町長に請求したとき。
(2) 町議会議員が、地方自治法の規定に基づき、住民投票条例を発議したとき。
(3) 町長が、中標津町の重要な課題に関して、住民の意思を直接確認する必要があると判断し、住民投票条例を議会に提出したとき。
2 議会及び行政は、住民投票の結果を尊重しなければなりません。
(協働の推進)
第12条 議会及び行政は、町民と協働して地域社会における課題解決を図るために必要な措置を講じ、町民の自主的及び自立的な活動を尊重しなければなりません。
第3章 町民
(町民の権利)
第13条 町民は、議会及び行政に関する情報を知る権利が有ります。
2 町民は、議会及び行政に参加する権利が有ります。
3 町民は、前2項の権利を行使し、又は行使しないことを理由に不利益な取扱いを受けません。
4 町民は、法令の定めるところにより、行政サービスを公正に受ける権利が有ります。
(町民の役割)
第14条 町民は、安心して心豊かに暮らすことのできる地域社会を築くため、町民相互の自主性と自立性を尊重し、町民が主体の自治の実現を図ります。
2 町民は、町民の権利の行使に当たっては、発言と行動に責任を持つとともに、将来の世代に配慮します。
3 町民は、法令の定めるところにより、行政サービスを公正に受けるために必要な負担を担います。
第4章 町内会及び町民活動団体
(町内会及び町民活動団体の定義)
第15条 町内会とは、居住する地域の地縁による団体をいいます。
2 町民活動団体とは、主体性をもって組織し、社会貢献活動により公益の増進に寄与する団体をいいます。
(町内会及び町民活動団体の役割)
第16条 町内会及び町民活動団体は、地域社会において自ら考え、行動し、活動の充実に取り組みます。
2 町内会及び町民活動団体は、多くの町民の参加を促進するために必要な環境をつくります。
3 町内会及び町民活動団体は、地域の課題解決のため、相互の連携や行政との協働により、活動の充実を図ります。
4 町内会及び町民活動団体は、地域社会における課題解決のために、行政に対し、協議提案をすることができます。
(町内会及び町民活動団体にかかわる町民の役割)
第17条 町民は、互いに助け合い、安心して心豊かに暮らすことのできる地域社会の実現のために、町内会及び町民活動団体を組織します。
2 町民は、地域社会の担い手である町内会及び町民活動団体の重要性を認識し、その活動に協調性をもって積極的に参加し、これを守り育てます。
(町内会及び町民活動団体にかかわる議会の役割)
第18条 議会は、町内会及び町民活動団体の自主性と自立性を尊重し、連携を図ります。
(町内会及び町民活動団体にかかわる行政の役割)
第19条 行政は、町内会及び町民活動団体の自主性と自立性を尊重し、連携を図るとともに、その活動を促進するため、支援します。
第5章 議会
(議会の役割)
第20条 議会は、住民から選挙で選ばれた議員で構成される中標津町の意思決定機関であり、政策を立案するとともに、行政運営を監視する機関です。
(議会の権限)
第21条 議会は、予算、決算、財産及び政策執行等にかかわる議決を行う権限が有ります。
2 議会は、条例の制定、改正及び廃止の権限が有ります。
3 議会は、行政の事務に対する監査請求や調査等の監視の権限が有ります。
4 議会は、地方自治法の規定に基づき、条例で定めるところにより議決する権限が有ります。
(議会の責務)
第22条 議会は、意思決定機関としての責任を常に自覚し、基本計画等の実施状況を確認し、常に将来展望をもって活動する責務を負います。
2 議会は、町民からの意見を聴取し、議会活動について町民に説明します。
3 議会は、情報共有の原則に基づき、町民に本会議や委員会を常に公開し、議論の透明性を図ります。ただし、非公開の場合は理由を明らかにします。
4 議会は、町民から提出される請願及び要望等に対し、速やかに検討し、回答します。
5 議会は、報告会等を開催し、直接、町民との対話の機会を設けるとともに、議会における議決の内容とその経過を広報紙等で報告します。
(議員の責務)
第23条 議員は、住民から選挙で選ばれた公職者として、法律、それに基づく政令及び中標津町議会議員政治倫理条例(平成14年条例第30号)をはじめとする条例等を遵守し、公益実現のため活動します。
2 議員は、安心して心豊かに暮らすことのできる地域社会を築くため、町民が主体の自治の推進と町民福祉の向上をめざし、常に政策提案を行います。
3 議員は、条例立案能力、政策立案能力及び審議能力等を高めるため、常に自己研さんに励みます。
4 議員は、町民の意思の反映を図るため、自主的に調査研究を行います。
第6章 行政
(町長の責務)
第24条 町長は、中標津町の代表者として、行政運営を総合的に行い、その公正の確保と透明性の向上を図らなければなりません。
2 町長は、基本計画等に基づく政策、財源等について明らかにします。
3 町長は、常に簡素で効率的な組織を構築し、運営します。
(行政の責務)
第25条 行政は、行政運営の透明性の向上を図り、公正かつ誠実に執行しなければなりません。
2 行政は、町民の意見を積極的に把握し、行政運営に適切に反映します。
3 行政は、行政運営に関する情報を町民に分かりやすく提供します。
(職員の責務)
第26条 職員は、常に町民の視点に立ち、自らも地域の一員として自覚し、職務を遂行しなければなりません。
2 職員は、常に町民が主体であることを認識し、公正かつ適正に職務を遂行しなければなりません。
3 職員は、施策の立案及び町民の求めることに的確に対応できる知識を習得し、能力の向上を図ります。
4 職員は、行政組織の横断的連携を密にし、職務を遂行しなければなりません。
第7章 議会と行政の関係
(議会と行政の関係)
第27条 議会及び行政は、町民の意思を的確に反映させるよう、議論の透明性と緊張感をもって運営しなければなりません。
2 議会及び行政は、地域特性を活かした独創的な政策立案を図るため、広く専門家や町民各層の意見を聴くとともに、積極的に研修会等を企画し、中標津町の発展のため活動しなければなりません。
第8章 行政運営
(総合計画)
第28条 町長は、行政運営を総合的かつ計画的に運営するため、基本計画等を定めます。
2 行政は、基本計画等以外の計画の策定と実施に当たっては、基本計画等との整合性を図ります。
3 行政は、基本計画等その他の計画の策定に当たっては、多くの町民の意見を反映させるため、町民参加を積極的に進めます。
4 行政は、基本計画等その他の計画の実施に当たっては、進行状況を適切に把握し、毎年当該計画の内容について見直しをするとともに、町民に分かりやすく公表します。
(財政運営)
第29条 町長は、基本計画等に基づき、予算を編成し、財源及び財産の効果的かつ効率的な活用を図り、財政運営に関する計画を定め、財政の健全な運営を行います。
2 町長は、予算と決算の内容及び財政運営の状況を町民に分かりやすく公表しなければなりません。
(政策法務)
第30条 町長は、政策の実現のため、必要に応じて条例、規則その他の規程の制定、改正及び廃止を行います。
2 町長は、政策の実現のため、法令等の自主的かつ適正な解釈及び運用を行います。
(職員の任免及び育成)
第31条 行政は、公正かつ適正な手続により職員を任免します。
2 行政は、職員の適正な配置を行うとともに、研修の充実により、必要な能力の向上を図ります。
(行政手続)
第32条 行政は、行政手続における公正の確保と透明性の向上を図らなければなりません。
2 前項に規定する手続に関し必要な事項は、別に条例で定めます。
(行政評価)
第33条 行政は、事務及び事業について適切な評価基準に基づく行政評価を実施し、その結果を予算、事務及び事業へ反映させます。
2 行政評価の実施に当たっては、町民参加による外部評価を行うとともに、行政評価に関する情報を分かりやすく公表します。
3 町長は必要に応じて、出資、補助及び職員の派遣を行っている法人その他の団体に対する出資内容、補助内容及び職員の派遣の目的、効果及び必要性について調査と検討を行い、その結果を公表します。
4 前3項に規定する行政評価の実施に関し必要な事項は、別に定めます。
(危機管理)
第34条 行政は、町民の生命、身体及び財産の安全性の確保と向上を図り、総合的かつ機能的な危機管理体制の整備を行います。
2 行政は、町民の危機管理に対する意識を高め、町民、その他関係機関との連携を図ります。
3 町民は、防災等に対する意識の高揚を図り、相互に助け合い、行動します。
4 町内会及び町民活動団体は、地域における連携協力体制を構築し、相互に助け合い、行動します。
第9章 連携及び交流
(国、北海道及び他の市町村との連携)
第35条 議会及び行政は、政策を実施するため必要に応じて、国及び北海道と相互に連携を図り、適切な措置を講じるよう提案します。
2 議会及び行政は、共通する課題の解決を図るため、他の市町村と相互に連携を図ります。
3 行政は、広域的な課題を解決するため、北海道及び他の市町村と共同で組織を設置できるものとします。
(国内外との交流)
第36条 町民、議会及び行政は、国内外の様々な人々や団体との交流を深め、安心して心豊かに暮らすことのできる地域社会を築くため、得た経験、知識及び技術を活かし、町民が主体の自治の確立に取り組みます。
第10章 条例の見直し
(条例の見直し)
第37条 この条例の見直しは、施行の日から起算して5年を超えない期間ごとに行います。
2 町長は、前項に規定する見直しに当たっては、次条に定める中標津町自治推進会議に、必要な意見を求めます。
3 議会及び町長は、前2項に規定する検討の結果を踏まえ、この条例とこの条例に基づく制度を見直すことが適当であると判断したときは、必要な措置を講じます。
(中標津町自治推進会議)
第38条 この条例を守り育て、実効性を高めるため、町長の附属機関として中標津町自治推進会議(以下「推進会議」という。)を設置します。
2 推進会議は、町長の諮問に応じ審議し、答申します。
3 推進会議は、次の事項について意見を述べることができます。
(1) この条例に基づく、町民参加の状況、条例の運用状況に関する事項
(2) この条例の見直しに関する事項
(3) この条例の推進に関する基本的な事項
4 前3項に定めるもののほか、推進会議の組織及び運営に関し必要な事項は、別に規則で定めます。
第11章 条例の位置付け
(条例の位置付け)
第39条 この条例は、安心して心豊かに暮らすことのできる地域社会を築くための中標津町の自治の実現に関する最高規範として位置付けます。
2 町民、議会及び行政は、この条例を誠実に遵守しなければなりません。
3 議会及び町長は、この条例の趣旨に基づき、各分野における基本条例を制定し、他の条例を体系的に整備します。
附 則
この条例は、平成24年4月1日から施行します。
附 則(令和3年9月28日条例第20号)
この条例は、公布の日から施行する。
附 則(令和3年12月17日条例第21号)
この条例は、公布の日から施行します。