Nakashibetsu Municipal folk Museum

中標津町在住の西村穣さんの植物コラム。

道端の野菜

タンポポ

タンポポみちばたが黄色い絨毯でしきつめられる。春が一段と進み、理由もなくうきうきして外に出たくなる季節である。校庭では女の子が花飾りを作り、男の子は茎で切りっこをしたり飽きると音を出して遊ぶ、平和な平和な風景である。なつかしいなぁ。

一方、芝生管理者にとっては、セイヨウタンポポは年中自家交配しながら増殖しているため、取っても取っても必ず侵入してくる忌々しい雑草でもある。

人間の手の入っていないようなところでは、在来種は結構健闘しているのだが、開発された環境下では圧倒的にセイヨウタンポポが多く、その強い繁殖力のため在来種の居場所はない。大輪で花数が少なく可憐なネムロタンポポはすでに絶滅状態にあるというし、シコタンタンポポも野付半島などに生息地は限られ、エゾタンポポも数が少なくなっている。

野付半島にはタンポポ以外にもエゾオオバコやワタスゲなどの在来種が多くある。
しかし近年、ドライブインから灯台までの道路が舗装され、側溝の張り芝にセイヨウタンポポが生えているのを見ると在来種の環境はますます厳しくなっていくようだ。

ある意味、食用としてセイヨウタンポポを移入した目的は達成したともいえるが、増えすぎの対策として、地域の特産品として売り出し食べまくってしまえば在来種復活の一助になりはしないか。

さて、その食べ方だが、いたってシンプルで、若葉はゆでておひたしにしてみると爽やかな苦みがあり充分に春を感じさせてくれる。他にも花のテンプラや葉のサラダなどがあるらしい。また秋には根を掘りきんぴらゴボウとして食したり、乾燥させフライパンなどで炒ってコーヒーにすると甘味のあるなかなかおいしい飲物にもなる。コーヒーに関しては、タンポポの根が専売特許ではなく、その昔、桐の実コーヒーというのを試したことがあり、今思えば、同じ味だったような気がする。
どちらも無理して味わうほどのものではないかもしれないが・・・。

味に詳しい方の話によると、エゾタンポポの方が甘みがあってうまい、というのだが、はたしてタンポポを食べ比べする価値はあるか。

↓左がセイヨウタンポポ、右がエゾタンポポ
左がセイヨウタンポポ、右がエゾタンポポ


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