Nakashibetsu Municipal folk Museum

中標津町在住の西村穣さんの植物コラム。

道端の野菜

エゾオオバコ

エゾオオバコオオバコは人が良く踏み歩いたり車輪の轍があるような場所に生えている。これは、オオバコの種子が地面に落下して水分を含むと、粘液を出して、人の足や車輪などに付着し、分布範囲を拡大していくためだ。なので人里にしか生えない。

オオバコのように、普通の植物が育たない踏みつけれる場所に生育するものを「踏み跡植物」という。オオバコは踏まれることで大きな葉を広げ他の植物に光が届かない様にして生育範囲を広げる。踏まれることが生育の条件になっている力強さの見本にしたくなるような植物である。まさに雑草の中の雑草といえる。オオバコの学名も「足跡」の意味であり、昔から同じように思われていたようだ。ちなみにオオバコの名はオオバに愛称がつきオオバッコ、オオバコとなった。ドジョッコ、フナッコのたぐいか。

踏まれないようなところにあるオオバコは、他の植物が生育してくると、日当たりが悪くなり、やがて姿を消してしまう。同じような植物にタンポポなどがある。あっそうか、芝生にタンポポが多くなるのは日当たりがいいせいか、ならば芝刈りをやめよう、とはならないところが忌々しい。

表題はエゾオオバコで、普通のオオバコと違うのは北海道の在来種であること、と思ったら全国にあり、海岸線に多く自生し、野付半島では普通に見ることができる。楕円形の葉にうっすらと白い毛がある。なんだ、普通じゃないか。単に普通のオオバコと住み分けしているだけなのだろうか。

そういえば、オオバコのことをカエルッパと言っていたことを思い出したが、あれは死んだカエルをオオバコの葉で包むと生き返るとか、カエルがオオバコになるのだとか。というのを最近知った。方言ではゲーロッパとかギャーロッパというのもあるようだ。また、薬効の高さでは有名、貴重な薬草だが、道端にあふれているせいか、多くの日本人に忘れられた。ちなみにオオバコの薬効は便秘解消に鎮咳作用と利尿作用などなど。オオバコの薬効はアロエをはるかにしのぐという。胃を強くし、食欲不振を治す特効が、そのまま強壮作用となる。

子供のころ祖母がオオバコを煎じて飲んでいた。たぶん風邪をひいて咳が出ていたのか飲まされた記憶がある。とても子供の口に合う味ではなかったので無理やり飲み込んだ。

最近になって中国茶をお土産にもらい飲んだところ、なぜか昔飲まされたオオバコの味を思い出した。そのお茶は少し甘い味がして何かのミックス茶で健康に良いそうなのだが、あまり積極的に飲もうとは思わない味であった。
きっとオオバコが入っているに違いない。


道端の野菜TOPへ

TOPページへ このページの先頭へ


  1. リンクはトップページ"index.htm"にお願いします
  2. ページや画像などへの直接リンクはご遠慮ください
  3. 掲載内容・写真の無断使用を禁止します
中標津町郷土館へメールを送る