Nakashibetsu Municipal folk Museum

中標津町在住の西村穣さんの植物コラム。

道端の野菜

スモモ

エゾオオバコエゾヤマザクラに少し遅れて、真っ白い花が咲きだすのがスモモだ。食べられる実を付けるので農家の庭先には必ずといってよいほど植えられていた。夏の終わりに、赤く熟した実は腹のすかした子供たちのおやつになっていたし、大人たちは焼酎に付けて果実酒として楽しんでいた。何度か食べたが、本当のところはあまり甘味を感じなかったし、熟した実に虫が入っていることも多く好きではなかった。

スモモはもともと中国原産で改良種も多いが、有名なのはアメリカに渡りプラムになる。スモモの種類で唯一うまい(個人的に)プルーンは和名セイヨウスモモで、ドライフルーツとしても有名である。古くからミラクルフルーツと呼ばれが、栄養などは干ブドウあたりと変わらないらしい。

スモモの大きいのをハタンキョと呼び、名前が面白いので覚えていた。今になって調べてみると品種として実在するのだが、あまり人気が無いらしく消えつつある。ハタンキョウは漢字で巴旦杏と書き、これはアーモンドとも読む。アーモンドはバラ科でサクラの仲間であり、実もスモモに似ている。こちらは実を食べずに種子の中を食べている。なるほどそうでしたか。

何年か前に、道央のペンションで果実酒を客に提供し、当局から酒税法に違反だとお咎めがあったが、当時は自家用で製造したいわゆる果実酒を他者に渡したりする場合は、無料であっても、「みなし醸造」となり、酒税法違反となるおそれがあったという。単にスピリッツに果実を加えただけでも別な飲み物だという判定なのだけど、一度税を払っているのに再度課税するのは納得できない感じだった。

結局、庶民の声がTVで放映され、イロイロ議論を醸し出したために、当局は一律に違法とするのは実態に合わないとして、自家消費目的で作った果実酒については「無償で知人等に提供することは販売に当たらず、酒税法に違反しない」とした。

それ以前には、放送した梅酒のつくり方が、そのレシピに従い個人が梅酒をつくると違法となることがわかり、後日、謝罪放送がされるという事件など、梅酒でも犯罪になってしまう、すごいことがあったのですね。

現在、国税庁によると自家製の果実酒を自分で飲むのはお咎めなしで、旅館ではお土産などとしての販売はできないが、客への提供は良いとなっている。

ただし、果実酒を作る際にブドウ(ヤマブドウも含めて)を入れるのはいけないとされている。二次発酵するということなのだろうか、庶民の楽しみにも当局はなかなか厳しい。


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