Nakashibetsu Municipal folk Museum

中標津町在住の西村穣さんの植物コラム。

道端の野菜(番外編)

ヤマドリ(エゾライチョウ)

エゾライチョウ最近、北海道のホームページで、エゾライチョウの食べ方が紹介されていたことが問題になった。北海道レッドデータブックで希少種(生息や生育の条件の変化によって、容易に絶滅のおそれがある種に移行する要素をもつ種)に指定した種を、「上品で良いだしがでます」、「そばやお雑煮、サムゲタン風にしてもおいしい」などと解説したのがいけなかったらしい。

エゾライチョウ、北海道的にはヤマドリ。私もヤマドリと覚えている。
ヤマドリはあまり長距離を飛ばないので、見つけやすく、冬場の狩猟対象として狙いやすい。たまに父が獲ってきたのを食べた。 ガラはソバの出汁に大変良いと話をしていた。肉が淡白な味だったのは覚えているのだが、スープに関しては比較できるほど記憶がない。たぶん回数が少ないのと、幼かったのだろう。昔は何でも食っていたなぁ。サムゲタン風は知らなかったけど。

エゾライチョウ自体は狩猟が許可されているが、捕獲数も生息数も減っているらしい。1960年代には6万羽も捕獲されていたと記録されているが、当地で今だにヤマドリを獲って食べてますとはあまり聞かないので狩猟対象としての地位は低そうだ。

7月、ヤマベ釣り解禁とともに林道奥深く走っていると、必ずといってよいほど親子揃ってよちよち歩きの鳥を見る。多いときは雛が5羽、近づくとあわてて薮に入ったり低空で羽ばたきながら薮の中に落ちるように逃げる。ヤマドリを見るとソバの出汁を連想するのがおかしい。
何年か前、釣りに行き林道を走っているとカーブの先に黄色い動物が見えた。テンだ。テンは何かを追ってめまぐるしく動いている。そのすぐ先にはヤマドリが逃げ回っている。飛び立たずに地面を這うように動いている。はじめはその行動の理由がわからなかったが、たぶん雛鳥が近くにいるので必死にテンの気をそらしているのだ。
テンが飛びかかると同時に羽ばたき、数十センチよける。すんでのところでかわしてテンからの攻撃を逃れている。なかなか見ごたえのある場に遭遇したと感動したが、何度か繰り返しているうちにテンは車に気がついて薮の中に消えた。きっと舌打ちしたに違いない。通りかからなければテンは目的を達成できたのかもしれない。
ヤマドリもさっさといなくなるだろうと思ったら、母鳥はテンの消えた場所に近寄り、薮の中をのぞき見るように気配を探っている。なんと言う行動なのだろう。
安全が確認できたのか、近くの側溝から雛鳥が数羽出てきた。雛鳥が母親の元に近寄るとヤマドリ親子は何事もなかったようにヨチヨチと林道を歩いていった。


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