Nakashibetsu Municipal folk Museum

中標津町在住の西村穣さんの植物コラム。

道端の野菜

エゾネギ

エゾネギの写真高校時代は下宿生活で、夜中になると腹がすくのでよくインスタントラーメンを作って食べていた。
当時はカップヌードル全盛の少し前で、袋入りの市販品といえば現在のようにバリエーションも豊富ではなく、乾麺とスープといういたってシンプルな存在だった。それでも十分うまかったのだが、なんとか豪華感を出そうとして卵を入れたりソーセージ(もちろん魚肉です)を入れたりするのだが、しょせんインスタントであり限界があったのを記憶している。

ある日、友人の下宿に行くために歩いていると道端にネギらしき植物が生えていたので、ちぎって匂いをかぐとネギの香りがした。土産にしようと一掴み採って持って行き、これはネギだからラーメンに入れると良いと説明し早速ラーメンを作り二人で食べた。
翌日、友人が腹をこわし、犯人がそのネギだというのである。二人とも食べているのにそれは変だというと、お前とは育ちが違うといって譲らない。大事には至らなかったので話はそこまでなのだが、それ以来、道端にあるネギのような植物が気になるようになった。
それはたぶん、エゾネギであったのだろうと思うが、現在の我が家の庭には紫色の丸い花をつけ、妻はチャイブと呼んでいる。調べると同種で和名と英語のちがいであった。

長ネギは中国西部原産で英語はリーク。玉ねぎのオニオンと比べるとマイナーな感じがする。
ネギは根から上1cmまでが茎で、そこから上全部は葉になる。したがって食べている白い部分も青い部分もほぼ全て葉である。
地域によって好みも違い、西日本では陽に当てた細い青ネギ、東日本では成長とともに土を盛上げ陽に当てないようにして作った、風味が強く太い白ネギが好まれている。

ネギは古くから薬効成分が含まれている植物と知られていた。痰や鼻水を押さえる作用があるようで、風邪をひいた時に、ネギをくるんだ手拭やガーゼなどを首に巻くというものは有名な民間療法である。乳児が鼻づまりで乳が飲めないとき、長ネギの白根をはいで、鼻の根に貼るというのもある。
この薬効から動物園で飼育されているチンパンジーに風邪予防の為に長ネギをそのまま与える施設がある。ただし、ペットや家畜などに与えてよいかどうかは注意が必要で、ネコ・イヌ・ウサギ等は煮汁などのわずかな量でも中毒をおこし、死亡することがあるという。

同じネギ属の玉ねぎやニンニクは鱗茎という茎の部分を食べている。ちなみにニンニクは食べすぎると胃を痛めたり、体臭の原因にもなるのでネギの仲間は要注意植物のようだ。


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