Nakashibetsu Municipal folk Museum

中標津町在住の阿部嗣さんの野鳥コラム。

身近な鳥たち

スズメとカラス

探鳥会などに参加する人の中でこんな言葉を口にする人が時々います。

「鳥のことはよく知りません、せいぜいスズメとカラスぐらいしか」

そこで私は、「スズメとカラスが分かれば大したものです、単にスズメとカラスといってもいろいろな種類や生活の違いがあるのですから。」すると、大抵の人はキョトンとした顔をします。なぜなら、身近に住んでいて良く知っているつもりの野鳥たちの代表格であるスズメとカラスですが、意外と知られていない事が多いのです。

この地方では、夏になると2種類のスズメを観察することができます。
ひとつは、1年中住んでいる、その名もただのスズメ。もうひとつは春に本州南部や朝鮮半島、中国南部からやってくるニュウナイスズメです。

それぞれの特徴は、スズメは全体が褐色で顔が白く、耳のところとノドが黒いのですが、ニュウナイスズメはスメよりも全体が明るい茶色で、耳ととノドの黒がありません。

モミアゲ(?)のないニュウナイスズメ 鳴き声は、ニュウナイスズメの方が高くて明るい声でチュンとかチュッチィーと聞こえます。
また、住んでいる場所も違っていて、スズメはみなさんも知っているとおり、町の中や農家など、人家の近くに住みますが、ニュウナイスズメはそれよりも少し遠く、郊外の林などに住みます。5〜6月に丸山公園や森林公園に行くと観察することができます。

次にカラスについてお話しましょう。
この地方でごく普通に見られる種類は、ハシボソガラスとハシブトガラスの2種類です。その他に、山のふもとにはカケスが、武佐岳や標津岳などの山の上にはホシガラスが住んでいますが、これらについては次の機会に譲ることにして、前の2種についてみてみましょう。

 

まず、その名前からも分かるように、ハシボソガラスは嘴(くちばし)が細くて、体もスマートな感じです。
ハシブトガラスは嘴が太くて、体はハシボソガラスより一回り大きく、オデコが出っ張っていて、全体にがっちりした感じです。
鳴き声は、前者はガーガーとかガララガララなどと濁った声で鳴き、後者はカーカーとかアーアーなど澄んだ声で鳴くのですぐに分かります。
住んでいる場所は、ハシボソガラスは畑などが広がるは農村に多く、ハシブトガラスは海岸や市街地に多いのですが、この地方ではそうともいえないようです。

カラスの巣スズメやカラスの繁殖場所ですが、最近は両者とも住宅難のようで、スズメといえば昔は住宅や物置の軒先に、ワラなどを集めて巣を作ったものですが、建物の構造が変わって軒先がなくなってしまったため、換気口や喚気扇などに巣づくりをして、ビックリさせられることが多くなりました。

カラスは、昔は神社の森とか、郊外の森で繁殖していたのですが、これらの木が少なくなったためか、また、数が増えたためか、市街地のカラマツなどに巣を作り、子育て中には巣の下を通る人を襲ったりするようになりました。広陵中学校付近の林や、丸山公園、以前に町立病院のあった近くのシラカバには毎年巣を作っています。

巣の材料も近代化?して、ビニールひもやポリ袋、針金などが使われるようになってきました。
巣作りの場所や巣の材料を見る時、人間と深くかかわりあって生きているスズメやカラスの生活が、人間の生活の変化と共にうつり変わってきていることが分かり、考えさせられてしまいます。

みなさんも身近な鳥であり、よく知っていると思っている『スズメ』、『カラス』を、もう少しじっくり観察してみてはいかがでしょうか?


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