中標津町新行政改革(平成18年度~平成22年度)

前文

 本町はこれまで、昭和61年の行財政改革推進を柱とした第一次行政改革の取組を行い、以後、簡素で効率的な行政運営と厳しい財政状況に対応するため、平成8年11月に「第三次中標津町行財政改革実施要綱」を策定し平成10年3月から「第三次中標津町行政改革実施計画」により行政改革を進めてきたところです。
 また、第三次行政改革の評価などを踏まえて平成15年には「中標津町経営再生プログラム」を作成し平成18年度までの新たな改革を現在行っております。
 この改革では、財政が税や使用料などの町民の負担によって成り立っていることを自覚し、効率的な財政運営を基本に今後、更に進展する少子高齢化社会に対応した環境作り、町の持続的発展の基礎となる社会資本整備、町民生活の安全、安心の町づくりを確保し、自主、自立的な町づくりを目指していく必要があります。

町の現状と課題

社会情勢の変化

 地方を取り巻く環境は大きく変化し、長引く景気低迷による社会情勢の変化、住民の行政に対するニーズの多様化・高度化が進み、地方が出来ることは地方での考えが進み国と地方との役割分担が一層明確になっています。

厳しい財政状況

 第一次から第三次及び中標津町経営再生プログラムによる行政改革により、事務事業の見直し・組織、機構の改善・職員定数の見直し・財政の健全化と効率化・民間活力の導入などを主体に経常経費、補助金、報償費の削減、各種使用料・受益者負担金の見直しなどを進め平成10年から13億に上る削減を行うなどの効果がありましたが、自主財源である町税等については大幅な増は見込まれず、また財源の約4割を占める地方交付税についても平成18年度以降、更に減額が予想されるなど財源確保が大変厳しい状況となっております。
 一方、歳出では少子・高齢化対策をはじめ、多様化、高度化する住民ニーズに答えるための対策が山積みしており、これまでどおりの行政運営が維持できない状況になっています。

地方分権の進展

 地方分権の進展により、地方の自主性の拡大と税財政基盤の強化などの三位一体改革が進展し、地域においても、公共サービスの見直しに伴う住民、民間企業、NPOなどとの連携、役割分担が求められております。

これからの町のあり方

 現在、進めている「中標津町経営再生プログラム」については、協働型総合行政システム(小さな自治)を目指し、平成15年度より取組を行っており1.構造改革の更なる推進2.歳出改革3.意識改革の3項目を柱に実施し平成16年度においては、50,618千円の削減効果を上げ、定員適正化計画、特勤手当等の支給基準を国に準じるなどの行財政改革を実施してきましたが、国の「三位一体改革」の進展による交付税の減額が大きく、特に平成19年度からの新たな交付税の算定措置により、現状の行政運営を続けていくと累計で18年度から22年度まで37億程度の累積赤字が見込まれるなど、策定当時とは大きく状況が変化しており、新たな行財政改革を必要とする状況となっております。
 また、高度化・多様化する住民ニーズへの対応、受益と負担の均衡を考慮する一方で、限られた財源と人を有効に活用した行政サービスの質の向上ということが求められています。
 このような状況から、経営再生プログラムの見直しも含めた第五次行政改革の推進(集中改革プラン)にあたっては住民と協働し、簡素で効率的な組織体制を確立し、危機意識と改革意欲を町長をはじめとして職員全員で共有し取り組む必要があり、毎年度検証、見直しを行い、改革の状況については住民に公表し進めていきます。

行政改革の主要推進事項

事務・事業の再編、整理

(1)時代の変化に対応し多様化する住民ニーズに応えるため、事務・事業には柔軟に対応する能力が求められており、行政が本来果たすべき役割、受益と負担の公平性の確保、行政効率等に配慮した事務事業の合理化を推進する。
(2)行政評価制度については、すでに導入済みであるが、共通の評価に基づき、その成果を次年度以降の事務事業の見直し、計画に反映させる等のサイクルの確立を行い、町政の運営、行政の透明性
の向上を図るなど住民参加の町政を推進する。

民間委託等の推進

 改正地方自治法に基づく指定管理者制度の活用は、行政運営の効率化と住民サービスの向上を図ることを目的として行うものである。
 現在、直営及び管理委託を行っている「公の施設」については、平成18年4月1日より導入する。
 平成18年より導入が不可の施設及び今後新規に設置される施設については、指定管理者制度の活用について検討する。

(1) 平成18年4月1日導入予定施設
  • 文化施設(1施設)
  • 体育施設(7施設)
  • 公園(33施設)
  • 地域会館、集会所(19施設)
  • その他施設(4施設)
     
(2) 平成19年度以降検討施設
 今回、導入を実施しなかった施設について随時検討を行い直営から指定管理者へ移行とする。

組織機構の見直し

 多様化する行政ニーズに対応し、行政課題に総合的・機能的に対応できるよう、全ての組織・機構の見直しを行い、行政のスリム化と効率化に努め、適正な人員配置を行い業務全般に渡る見直し、町の行政課題に対する対応等を進め、責任所在の明確な町民にわかりやすい組織とする。

定員管理の適正化

 当町の職員数については、総務省の定める「定員モデル」と比較すると若干下回っているが、これまでの第一次定員適正化計画及び現在の第二次定員適正化の推進により退職者の不補充等で職員数の削減を進めているところですが、平成19年度以降は、職員の大量退職を迎えることから退職者の3分の1補充として適正な職員数を目指すものとする。
 一般職(町立病院を除いた職員)の職員数は平成18年4月1日時点で285名を平成22年4月1日において264名とする。
今後の採用予定
年 度前年度定年退職者新規採用予定者減 員 数
18年度△4
19年度△6
20年度△4
21年度10△7

給与・手当の適正化

 職員給与については、退職時の特別昇給の廃止、特殊勤務手当の見直し、更には独自に5%の給与の削減を行い総人件費の抑制を図ってきたところです。
 職員の給与制度については、町民の理解と支持が得られる給与制度・運用・水準を目指し、国の給与制度の改革に合わせ実施してきたところであり、特殊勤務手当については平成16年においてすでに見直しを行い国の支給基準と同一としたものであります。
 今後も、国の給料表に沿った給与体系を維持し、職務や能力、実績を反映できる給与制度の構築を行う。
 現在、定員・給与等については、毎年広報誌を通じて公表しているところですが、今後も、町民に理解の得られる方法で随時公表などを行うこととします。

人材育成の推進

 分権型社会の担い手にふさわしい人材を育成することは重要な課題であり、「中標津町職員研修規則」に基づき総合的な人材育成に努める事とする。

電子自治体の推進

 情報セキュリティの確保に留意し、各種行政サービスを進め住民が利用しやすい電子自治体の構築を行います。

第三セクターの見直し

 中標津町土地開発公社、(株)中標津町中標津都市施設管理センター、根室中標津空港ビル(株)については、当初の出資のみであり、現在特に補助等を実施していないため、今後は更なる自立運営に向けた監査等を行います。

協働のまちづくりの推進

 地域の課題やニーズに対応するとともに、簡素で効率的な行政を実現するため、住民参加による公共的サービスの提供について検討を行い、地域との協働を実現するため、職員個々の意識改革や勤務体制の整備に取り組むこととする。

財政の健全化

(1) 経費の節減等財政の健全化
 経費については、更なる見直しを行い、歳出全般の効率化を進め限られた財源の配分につき重点化を図るとともに、税の収納向上、受益者負担の適正化などの町の自主財源の確保について努力し財政の健全化に努めます。
(2) 収納額の向上、受益者負担の適正化
 地方財政を支える上で自主財源の確保は重要な課題となっています。町の自立促進のためにも町税等の収納に努めることはもちろん、手数料等受益者負担の適正化を促進し財源の確保に努めます。
(3) 未利用財産の売払い等について
 未利用財産については、毎年売払いに関する検討を行い、現在貸付等を実施している土地についても積極的な売込みを行います。

公営企業の健全化

 現在、公営企業として病院事業、水道事業等があるが、病院事業については大変厳しい状況にあり、医師確保対策を始め更なる経営健全化に取り組む必要があります。
 また、水道事業については、幹線の老朽化も進み今後取り替え等の設備投資が必要となるため病院事業同様に健全経営に取り組まなければなりません。