其の23 2016年8月

 前月号で北方四島交流訪問事業(ビザなし交流)の内容を親松先輩からバトンを受けましたので、私からは2日目のお話をしたいと思います。
 冬以外のほとんどの季節は、海霧の影響で島内は視界が悪いと聞きましたが、私たちが色丹島を訪れた期間は、ビザなし訪問団を心待ちにしていたかのように晴天に恵まれ、夏のような陽気でした。
 2日目は教会、斜古丹保育園、商店(買い物)、意見交換会、夕食交流会が行われました。
 商店では日用雑貨や食品が販売されており、ロシア産はもちろん、他の国の輸入商品も多数あり、日本の商品もたくさん見かけました。お墓参りでは、きちんと整備されたロシア人墓地の横にたった2本のパイプだけで仕切られた日本人墓地。雑草は生え放題、中には墓石がなくなってしまっているものもありました。
 このままではこの場所がなくなってしまうと感じたと同時に守っていく難しさ、厳しさを目の当たりにしました。
 最終日の夕食交流会では、訪問団によるジャズ演奏を聴きながら色丹島の島民と同じ席で食事をし、曲に合わせて歌を歌ったり、楽しく一緒にダンスを踊ったりと、言葉は通じなくても音楽を通じてより交流を深められたのではないかと感じました。行程の最後には船が見えなくなるまで港でお見送りをしていただいて私たちは帰路につきました。
 私たちが住んでいるここ根室地域は唯一、北方領土を実際に目で見ることのできる地域です。だからこそ修学旅行生などの特に若い世代にもっとこの問題を知っていただき、北方領土問題が身近に存在している現状を感じてもらいたいです。
 この貴重な経験を、一人でも多くの人々に伝えて続けていきたいと思います。
中標津町地域おこし協力隊 小 池  瞳(こいけ ひとみ)