其の7 2014年12月

 先日、下牧作業のお手伝いをしました。

 中標津町営牧場では、酪農家さんの負担軽減のため、5月末から10月末まで若い牛を有料で預かり、人工受精をさせてお乳がでるように育成して、各農家さんへ戻します。「下牧」(げぼく)は預かった牛を農家さんへ返すための作業のことです。ちなみに牛を預かる作業のことを「入牧」(にゅうぼく)と言います。

 放牧してごちゃ混ぜになっている牛を首につけた番号で判別し、指定の柵に入れます。ほとんどの牛は人間を恐れて逃げようとするため、その習性を利用し牛を誘導します。とはいえ、何百頭の中から番号を探す作業はとても大変でした。たくさんの牛の中に巻き込まれて牛のお尻にどつかれたり…ようやく指定の場所に分けられた牛は1頭ずつ体重を量り、ワクチンを接種します。やがて引き取りに来たトラックへ誘導し、預かった牛はそれぞれのお家へ帰ります。800頭もいる牛を相手に行う下牧作業は約3日間、1日10人ほどの作業員によって行われました。
 今年は天候にも恵まれましたが、過去には雨の中での作業もあったとのこと。大きい牛や小さい牛、目が合うだけで逃げてしまう牛、近寄ってきて手を舐める人懐っこい牛もいました。身体の模様は牛の数だけ種類があり、白黒茶3色の柄の牛、まつ毛が白い牛、など様々です。
 町内で車を運転していればいくらでも牛を見ることはできますが、触ることはなかなかできません。今回初めて牛に触れることができ、近くで見るととても可愛くてつぶらな瞳に吸い込まれてしまいました。私たちは365日24時間、どこでもいつでも牛乳を飲むことができます。それは農家さんが365日休みなくお仕事をしているからです。牛にストレスがたまればお乳も出なくなってしまいます。牛にストレスが溜まらないように気を使う農家さんこそストレスが溜まらないか心配です。 少しでも身体が休まるように、町のサポートや機械の導入など農家さんを守るシステムが今後も充実していくといいですね。
 消費する側はおいしく残さず飲む!を忘れずに、これからも毎日牛乳を飲みたいと思います。
 酪農家の皆さま、いつも美味しい牛乳をありがとうございます(^^)
中標津町地域おこし協力隊 親松 麻子(おやまつ  あさこ)
(役場経済振興課内)