想像力が文章読解の力に
先月、中標津町で巡回指導教員をしていただいています、計根別中学校の松本秀雅(ひでや)先生とお話をする機会がありました。
「教育長、分かりました」
「何が分かったのですか」
「子ども達が、どこでつまずいているのかが分かりました」
「それは、すごいですね」
と、このような会話をいたしました。
彼は、計根別中学校を本務校とし計根別小学校を兼務校として、中学校で数学、小学校で5・6年生の算数を教えているのですが、本務校の計根別中学校1年生を対象に、道教委の『チャレンジ問題』の小学生対象問題を実施したそうです。
その結果、小学校3年生から小学校6年生の問題で、80%に満たない達成率を示した問題、つまりイエローゾーンですが、3年生の問題で5題、4年生の問題で2題、5年生の問題で3題、6年生の問題で3題、あったそうです。さらに、達成率が20%から30%くらいしか示さなかった、いわゆるレッドゾーンの問題が、5年生の問題で1題、6年生の問題で2題、あったそうです。
さて、そのイエロー問題やレッド問題に共通していたのは、……何だと思いますか。
実は、図形やグラフの問題も含まれていたそうですが、そのほとんどが文章問題だったそうです。この結果から、やはり、国語力、文章の読解力が問題になってきますが、これも、さらに分析を進めないと確かなことは言えないと思います。私は、場合によっては、想像力の不足などということも考えられると思っています。
それは、例えば、5年生の問題で、次のようなものがありました。
「あきらさんは、次の問題をつくりました。『箱に140個のくりが入っています。このくりを、花組の40人で等しく分けると、残りは12個でした。くりを一人何個もらったでしょうか』」とあり、問題に入っていくわけです。
この文章を読んで、『140個のくり』『その入れ物である箱』『40人いる花組の児童』『分けている場面』『箱に残った12個のくり』こういったものが、それぞれの頭の中に、きちんと想像されなければ、問題に取り組むことはできないでしょう。
さらに、この問題は、計算してみると直ぐ分かるのですが、答えが整数になりません。問題は、答えを整数にするためにはどうしたらいいのかということで進みます。つまり、あきらさんのつくった問題によってできた自分の頭の中のイメージを、一度壊さなければなりません。その意味で、二重の想像力が必要になってきます。この想像力が前提となって、身に付いている計算力が生かされるということではないのでしょうか。
次に、では、子ども達の想像力を育むには……、となります。
そこが大変難しいのでが、私は、やはり読書がその力になるのではないかと思っています。人は、自分に無いもの、そこに無いものを欲しがります。現実の世界、自分が生活している身の周りや、イメージが出来上がっている映像の世界と比べると、文章は、自分の頭の中にイメージを結ばなければ、全体像がはっきりとはしません。また、「色白の肌がほんのりと色づき、鼻の先は少し上を向き、何かを語るような黒目勝ちの目に、何も語らない唇で……」などと言葉で表現されたことに対して、否が応でも私たちはそのイメージを欲しがるものです。文章を、特に小説や物語を読むことは、知らず知らずに想像力を鍛えていくのではないでしょうか。
さて、毎年、全国学力テストの結果が出ますと、北海道は学力が低い、根室管内はさらに低いということが、声高に言われます。ただ、私は、幾つかの理由から、そんなに悲観的には見ていません。
当然、今までも、各学校で様々な取り組みを進めてきているところですが、そろそろ、より具体的に、そして国語・算数数学以外の他の教科においても、対応策が動き出す必要があるのではないかと思っている今日この頃です。もちろん、想像力も鍛えて欲しいですね……。
「教育長、分かりました」
「何が分かったのですか」
「子ども達が、どこでつまずいているのかが分かりました」
「それは、すごいですね」
と、このような会話をいたしました。
彼は、計根別中学校を本務校とし計根別小学校を兼務校として、中学校で数学、小学校で5・6年生の算数を教えているのですが、本務校の計根別中学校1年生を対象に、道教委の『チャレンジ問題』の小学生対象問題を実施したそうです。
その結果、小学校3年生から小学校6年生の問題で、80%に満たない達成率を示した問題、つまりイエローゾーンですが、3年生の問題で5題、4年生の問題で2題、5年生の問題で3題、6年生の問題で3題、あったそうです。さらに、達成率が20%から30%くらいしか示さなかった、いわゆるレッドゾーンの問題が、5年生の問題で1題、6年生の問題で2題、あったそうです。
さて、そのイエロー問題やレッド問題に共通していたのは、……何だと思いますか。
実は、図形やグラフの問題も含まれていたそうですが、そのほとんどが文章問題だったそうです。この結果から、やはり、国語力、文章の読解力が問題になってきますが、これも、さらに分析を進めないと確かなことは言えないと思います。私は、場合によっては、想像力の不足などということも考えられると思っています。
それは、例えば、5年生の問題で、次のようなものがありました。
「あきらさんは、次の問題をつくりました。『箱に140個のくりが入っています。このくりを、花組の40人で等しく分けると、残りは12個でした。くりを一人何個もらったでしょうか』」とあり、問題に入っていくわけです。
この文章を読んで、『140個のくり』『その入れ物である箱』『40人いる花組の児童』『分けている場面』『箱に残った12個のくり』こういったものが、それぞれの頭の中に、きちんと想像されなければ、問題に取り組むことはできないでしょう。
さらに、この問題は、計算してみると直ぐ分かるのですが、答えが整数になりません。問題は、答えを整数にするためにはどうしたらいいのかということで進みます。つまり、あきらさんのつくった問題によってできた自分の頭の中のイメージを、一度壊さなければなりません。その意味で、二重の想像力が必要になってきます。この想像力が前提となって、身に付いている計算力が生かされるということではないのでしょうか。
次に、では、子ども達の想像力を育むには……、となります。
そこが大変難しいのでが、私は、やはり読書がその力になるのではないかと思っています。人は、自分に無いもの、そこに無いものを欲しがります。現実の世界、自分が生活している身の周りや、イメージが出来上がっている映像の世界と比べると、文章は、自分の頭の中にイメージを結ばなければ、全体像がはっきりとはしません。また、「色白の肌がほんのりと色づき、鼻の先は少し上を向き、何かを語るような黒目勝ちの目に、何も語らない唇で……」などと言葉で表現されたことに対して、否が応でも私たちはそのイメージを欲しがるものです。文章を、特に小説や物語を読むことは、知らず知らずに想像力を鍛えていくのではないでしょうか。
さて、毎年、全国学力テストの結果が出ますと、北海道は学力が低い、根室管内はさらに低いということが、声高に言われます。ただ、私は、幾つかの理由から、そんなに悲観的には見ていません。
当然、今までも、各学校で様々な取り組みを進めてきているところですが、そろそろ、より具体的に、そして国語・算数数学以外の他の教科においても、対応策が動き出す必要があるのではないかと思っている今日この頃です。もちろん、想像力も鍛えて欲しいですね……。
平成24年2月 教育長
小 谷 木 透
小 谷 木 透
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中標津町 電話番号:0153-73-3111FAX:0153-73-5333
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