気がつけば、月日は過ぎ・・・
11月に入り、『喪中につき欠礼』という葉書がぽつりぽつりと届くようになりました。「月日の経つのは早い」とは、昔から余りにも多く言われてきた言葉ですが、年々その感覚が強くなるような気がします。
先日、ある故人の七回忌に行ってまいりました。
私が31歳で中学校の教師になったおり、教師のイロハを教えて下さった素晴らしい先輩教師がいらっしゃいました。その方に、授業方法、学級経営、生徒指導と、何から何まで教えていただきました。教師になった一年目、私には教師という仕事は不向きではないかと思い、何度も仕事を辞めようかどうしようかと考えたものでした。結果として辞めなかったのには幾つかの理由がありますが、その先輩教師の姿を見ていて頑張りきれたことも理由の一つです。
教師になりたての一年目ですから、一年間を通して初任者研修というものがありました。その一つで、別の中学校を訪問し、授業参観・その後の事後研究・講話などがあった時なのですが、二年生の美術の授業を参観したおりに、その教室の窓側の中ほどの席に、お世話になっている先輩教師の娘さんがいらっしゃいました。
その時から二十年以上も経ち、初任者として勤務した学校に、私は教頭として勤務することになりました。すると、その娘さんが既に一般教諭として勤務していらっしゃいました。私が初任者研修で見かけた中学生と同僚になるなど、その当時には思いも及びませんでした。そして、その娘さんが、七回忌を迎えた故人です。
彼女が亡くなった直後に書いた、私の文章があります。
葉の落ちてしまった樹々の間から見上げる初冬の青空に
13歳の中学生であったあなたの姿が浮かび上がり 消えた。あれから二十年以上の歳月が流れ 私はあなたと同僚となり 仕事を共にした。そして二年後 あなたは亡くなった。
他人(ひと)を理解することなど できるのだろうか。気持ちや立場などを論理的に正しくわかることなど できるのだろうか。
亡くなった人への挨拶に 「元気で、頑張って」はないだろうと 私自身思いながら あなたの肉体とのお別れのとき 心の中で呟いてしまった。あなたは37歳で亡くなり 私は54までは 生きている。何年 生きてみても 自分自身のことすらわからない。そんな私が 他人(ひと)を理解することなど できるのかと思うが 社会生活とは 他人(ひと)を理解しようとすることの積み重ねのようなものだから……
あなたが亡くなった後 あなたの無念さ ご両親の嘆き そして 多くの人たちの涙の通夜の席で 自分はなんと不謹慎な人間だろうと 心の中で気づきながら 私は あなたの「恋」に想いを馳せていた。あなたの初恋は 十代の初め頃だったのだろうか。 そして 次は十九の頃だろうか それとも 二十歳を過ぎた頃だったのだろうか。どんな人に恋したのだろう。どんなふうに 思いを伝えたのか……。
私の心残りは あなたと恋の話をしなかったこと。
人生において、私たちはたくさんの人に出会い、そして別れます。誰においても、いつでも当たり前のことですから、あまり考えたり悩んだり、必要以上に思い込みを強くすることはないのかもしれませんが、どうしても忘れられない出会いや別れというものがあるようです。
先日、ある故人の七回忌に行ってまいりました。
私が31歳で中学校の教師になったおり、教師のイロハを教えて下さった素晴らしい先輩教師がいらっしゃいました。その方に、授業方法、学級経営、生徒指導と、何から何まで教えていただきました。教師になった一年目、私には教師という仕事は不向きではないかと思い、何度も仕事を辞めようかどうしようかと考えたものでした。結果として辞めなかったのには幾つかの理由がありますが、その先輩教師の姿を見ていて頑張りきれたことも理由の一つです。
教師になりたての一年目ですから、一年間を通して初任者研修というものがありました。その一つで、別の中学校を訪問し、授業参観・その後の事後研究・講話などがあった時なのですが、二年生の美術の授業を参観したおりに、その教室の窓側の中ほどの席に、お世話になっている先輩教師の娘さんがいらっしゃいました。
その時から二十年以上も経ち、初任者として勤務した学校に、私は教頭として勤務することになりました。すると、その娘さんが既に一般教諭として勤務していらっしゃいました。私が初任者研修で見かけた中学生と同僚になるなど、その当時には思いも及びませんでした。そして、その娘さんが、七回忌を迎えた故人です。
彼女が亡くなった直後に書いた、私の文章があります。
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葉の落ちてしまった樹々の間から見上げる初冬の青空に
13歳の中学生であったあなたの姿が浮かび上がり 消えた。あれから二十年以上の歳月が流れ 私はあなたと同僚となり 仕事を共にした。そして二年後 あなたは亡くなった。
他人(ひと)を理解することなど できるのだろうか。気持ちや立場などを論理的に正しくわかることなど できるのだろうか。
亡くなった人への挨拶に 「元気で、頑張って」はないだろうと 私自身思いながら あなたの肉体とのお別れのとき 心の中で呟いてしまった。あなたは37歳で亡くなり 私は54までは 生きている。何年 生きてみても 自分自身のことすらわからない。そんな私が 他人(ひと)を理解することなど できるのかと思うが 社会生活とは 他人(ひと)を理解しようとすることの積み重ねのようなものだから……
あなたが亡くなった後 あなたの無念さ ご両親の嘆き そして 多くの人たちの涙の通夜の席で 自分はなんと不謹慎な人間だろうと 心の中で気づきながら 私は あなたの「恋」に想いを馳せていた。あなたの初恋は 十代の初め頃だったのだろうか。 そして 次は十九の頃だろうか それとも 二十歳を過ぎた頃だったのだろうか。どんな人に恋したのだろう。どんなふうに 思いを伝えたのか……。
私の心残りは あなたと恋の話をしなかったこと。
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人生において、私たちはたくさんの人に出会い、そして別れます。誰においても、いつでも当たり前のことですから、あまり考えたり悩んだり、必要以上に思い込みを強くすることはないのかもしれませんが、どうしても忘れられない出会いや別れというものがあるようです。
平成24年12月 教育長
小 谷 木 透
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中標津町 電話番号:0153-73-3111FAX:0153-73-5333
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