全国学テ結果の数値公表と責任範囲

平成26年9月24日更新

 庭を賑わせていた花々も、菊を残して終わりの時期を迎えつつあります。
 人を好きになることは簡単なことです。そして、人を嫌いになることは、もっと簡単なことのようです。その 「好き」と「嫌い」の間で、真剣に誠実に、一生懸命バランスをとろうとするのが結婚生活ではないのかなと、ふと思いました。これから結婚される方に参考にしていただければ……
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 教育、特に学校教育は、現在大変ざわついているようです。現政権や文部科学省が「教育改革」を声高に進めようとしています。明治の開国から150年近く、太平洋戦争の敗戦から70年ほどが経とうとしています。学校教育に関わる制度も制度疲労を起こすようになって当然でしょう。ですから、教育改革の必要性は誰もが認めるところと思います。
 さて、その中身となると……

 ところで、「全国学力・学習状況調査」の結果公表ですが、平成19年、この調査を始めるにあたり文科省から各学校に至るまで、危惧したのは過度な競争を煽り学校が混乱するのではないかということでした。そのため、文科省は「調査により測定できるのは学力の特定の一部分である」「学校における教育活動の一側面である」「序列化や過度な競争が生じないようにする」など、教育上の効果や影響に充分配慮することが重要であると、口が酸っぱくなるくらい繰り返しました。
 ところが、8回目の今年度からは、これらの上位に「説明責任を果たすこと」が重要であると位置づけ、市町村別・学校別の数値の公表も可能であるとしました。道教委も待ってましたとばかりに、その方向で動き出しました。町教委に席を置いている身であれば、私にもその思いはよく理解できます。中標津町でも分析やグラフ、取り組みや成果と課題の他に、平均正答率についても数値そのものではありませんが、全国・全道と比較して「やや…」「ほぼ…」と表現し公表してきました。しかし、分かりやすい公表の声も大きく、今年度から町全体の平均正答率の数値を公表することを検討しています。

 ここで大事なことは、タイトルにも書きましたとおり「責任範囲」です。道教委が全道の市町村の平均正答率を公表することの意味はどのようなところに存するのでしょうか。
 道教委自身は、各市町村の平均正答率を資料として持っているはずです。また、私たち中標津町の町民にとってわが町の平均正答率は気になるところかもしれませんが、稚内市や江差町の平均正答率を知りたいものでしょうか。また、知ったところでそれほどの意味があるのでしょうか。これは中標津町に限らず、全道のどこの市町村にも当てはまることではないでしょうか。

 何を言いたいのかといいますと、道教委は北海道全体がその責任範囲であり、道全体の平均正答率を公表し、分析・検討し、対策を練らなければなりません。同じように、市町村はそれぞれの自治体が責任範囲です。わが市町村の結果を受け、分析・検討し、対策を練らなければなりません。学校は、各学校において自校の結果を分析・検討し、対策を練る責任があります。学校における数値の公表は、さまざまな条件や事情の中で、各学校が判断すればいいのではないでしょうか。
 ですから、国は国全体としての平均正答率とどのような課題があり、どのような対策を行うのかを公表すればいいのです。何も、都道府県単位の平均正答率を公表し、過度の競争を煽る必要はないのです。それぞれが責任を持つべき範囲について、しっかりと責任を果たすべきではないかと考えるのですが、いかがでしょうか。

平成26年9月 教育長
小 谷 木  透