胃食道逆流症~「胸やけ」「呑酸(どんさん)」要注意~

町立中標津病院 内科医長 川内 宏仁
 「逆流性食道炎」。この言葉を耳にしたことがある方も少なくはないと思います。
逆流性食道炎とは読んで字の如く、食道に何かが逆流することによって炎症が起こる疾患で、炎症を起こす主たる原因は胃酸を含めた酸性胃内容物であると考えられています。
また、胃酸などの酸性胃内容物が食道に逆流することにより症状が出現し、医学的対応が必要となる病態を胃食道逆流症と呼びます。(少しややこしいですが逆流性食道炎は胃食道逆流症の中で、実際食道に炎症が起きている状態といえます。胃食道逆流症の症状があっても食道炎を起こしていない状態もあります。)
 胃酸は強力な消化作用を持っており食物を溶かしてしまいます。食道は胃酸に対する防御機能を持たないため、胃酸にさらされると容易に炎症を起こしてしまうのです。
 症状は多岐にわたりますが、典型的なものとしては胸やけや呑酸があります。
 「呑酸」とは、口腔内への胃酸逆流によって、苦みや酸っぱみを感じたり、そのようなげっぷが出ることをいいます。また上記以外にも腹部の不調感の他、喉の違和感や持続する咳などの症状が出ることもあります。
 別に示す質問票をチェックして8点以上になった場合は胃食道逆流症の可能性が出てきますので、医療機関に相談するとよいでしょう。(もちろん8点以上だから絶対に逆流症ということではないですし、8点以下であれば逆流症ではないというものでもありません)。典型的な症状であれば、まずは胃食道逆流症として胃酸を抑える内服薬を使用していただき症状の経過をみることがあります。しかし、実際食道にどれほどの炎症が起きているか(または炎症が起きてないか)の把握や、食道癌などの逆流性食道炎以外の病気の評価などを行うためにも、可能であれば最初に胃カメラ(内視鏡検査)を受けていただくことをお勧めします。
 内視鏡検査は嘔吐反射(喉元でオェーとなること)の出現から敬遠される方もいますが、現在は経鼻内視鏡(鼻から挿入することによって嘔吐反射の出現を抑える)も導入されていますので、以前と比較すると苦痛は緩和されていると思います。適切な診断・治療を行うためにも検査を検討していただきたいものです。
 胃食道逆流症の診断となった場合は通常は内服薬の処方になりますが、逆流を誘発する生活習慣を避けることも重要です。早食いや満腹まで摂取すること、腹部の圧迫が強い衣服の着用や長時間にわたる前屈みの姿勢、摂取直後に横になるなどの生活習慣の改善や、肥満があれば体重を減少させることは症状緩和に効果があります。横になった時の逆流を防ぐために、ベッド等の頭を上げる方法も効果があります。
 以上のような治療で症状の経過観察を行います。症状が改善し一時的に内服薬を休薬できる方もいますが、再発もしやすく再度内服が必要となる方や、症状緩和は得られるが完全消失にまではいかない方もいます。改善しない場合は、薬の追加・変更を行ったり、別の疾患がないか診断を再検討となりますが、改めて生活習慣の見直しなども必要です。
 最近、より身近になってきた胃食道逆流症。みなさんは思い当たる点はないでしょうか?
気になることがあれば遠慮なく医療機関に相談して下さい。それでは早速問診票をチェックしてみましょう。