Nakashibetsu Municipal folk Museum

中標津町在住の西村穣さんの植物コラム。

道端の野菜

コクワ(サルナシ)

コクワ木にくるくるっと巻きついた蔓(つる)を見て、あれはブドウだこれはコクワだマタタビだとわかるようになると山菜採りも楽しさが増す。

これらは実を食べると同時に蔓は工芸や手芸の材料にされ、ブドウはクリスマスのリースなどによく使われるし、コクワは非常に丈夫なことから吊り橋に使われた例がたくさんある。私も祖父が蔓をカンジキの輪に利用していた記憶がある。コクワは本名サルナシといい、日本全土に分布していて道東の野山にもごく普通にある。また近い親戚にあたるミヤママタタビは花の時期に葉が白くなったり赤くなったりするので、山沿いの道を走るとよく目に触れる。この葉の変色はしっかりと理由があり、白い小さな花の疑似花の役割をしてその所在を訴えているのである。自然はなんとも偉大である。

蔓植物が右巻きか左巻きかを簡単に見分ける方法がある。蔓の巻いている部分に手を当て、右手をあてて親指の方向に蔓が上がっていけばそれは右巻き、左手をあてて親指の方向に蔓が上に上がっていけば左巻きという簡単な見分け法である。同じ種でも両巻きもあるという。世の中を生きていくうえでは、どうでもいい話ではあるが、山歩きのときに子供にでも説明すると感心するかもしれない。

当地方ではコクワは焼酎に浸けるのが多く、縁の下から取り出して、何年間も寝かせたのだといって得意気に注いでもらったことは幾度か経験している。しかし、せいぜい2〜3年間程度が限界で、これ以上保存しても味はあまり変わらないような気がする。

熟した実は甘く、ジャムにしたり生で食べることもできる。子供のころ、良く食べたのだが、たくさん食べると、排便時になぜか肛門がかゆくなってしまうといった事がおこってしまう。季節になると友人たちとこの不思議な出来事について良く話し合ったものである。

スーパーに並ぶキゥィーフルーツもコクワの親戚筋と聞いていたのでたくさん食べてみたが、残念ながら?そんなことはなかった。きっと品種改良が進み野性の力が落ちているのだろう。

マタタビはネコ科の動物をうっとりさせる不思議な力をもつ植物としても昔から有名である。しかしその成分は昭和41年に確認されたというからさほど古くから研究されていたわけではない。どのくらいの価値がある研究かは知らないが、成分には名前もあり、文献によると「マタタビラクトンは・・・」とある。特に何の変哲もない名称だなぁと思うのである。どうせならゴロニャリンとかニャンコロトンの方がそれっぽくて良いのではないか。


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