Nakashibetsu Municipal folk Museum

執筆者は中標津町在住の川野政志さんです。

魚類

標津川と武佐川の合流地点中標津町を流れる主な川には標津川と当幌川があります。

標津川は知床の山々のふもとから流れだし、武佐川や俣落川、ケネカ川などの支流を持ち、市街地を通っています。

一方当幌川は別海町との間にあり、原野の中を流れています。

町内の川にはヤマベ(ヤマメ)、オショロコマ、アメマス、ニジマスなどのサケ科の魚が市街地をはじめ、広く住んでいます。

一番上流にはオショロコマが、次にアメマス、ヤマベへとそれぞれ場所を分けて住んでいますが、地域によっては一緒に生息しているところもあるようです。

オショロコマオショロコマのお顔当幌川と標津川の本流や下流にはアメマスが多く、反対に標津川の上流にはオショロコマが多いようです。これらは、水が深くよどんでいる「淵」や、浅く早く流れている「瀬」、「渓流」など、川の形の違いによって住む魚が違ってくることによります。

サケ科の魚と似たところに住んでいるものにウグイがいます。釣りの外道として嫌われています。春から初夏にかけての産卵期にはアカハラと呼ばれ、体を赤くし群れで行動しています。

また、標津川の源流から上流にはハナカジカが石の下などにひそんでいます(以前には市街地でも護岸の下などにひそんでいました)。このハナカジカは一生を川で過ごしますが、一度海に下るカンキョウカジカやエゾハナカジカが河口付近で見ることができます。

さらに上・中流付近では、フクドジョウが護岸や石の下の水の通りのよいところ、小川のヨシの間に住んでいます。夏にはこれらの下の浅く水のたまったところに1〜2センチメートルの稚魚が群れています。

夏には海から産卵にのぼってくるカワヤツメを標津川の堰堤で見ることができます。子どもは4年くらい川に住んでから海へ行き、2年程で帰ってきます。川岸の砂を掘ると目のない幼体を見ることがあります。

この他に一生を川ですごすスナヤツメを見ることができます。また、運がよければシベリヤヤツメを見ることもあります。

中標津町ではあまりみることが少ないですが、俵橋付近の湿原の小川ではハゼ科のウキゴリやドジョウを見つけられるかもしれません。

ウキゴリはちょっと見るとカジカのように見えますが、はらびれが左右合わさっていているので、岩にはりついて上流へ登っていくことができます。水槽ではガラス面にはりついています。また、ドンコと呼ばれることもあります。

ドジョウ(マドジョウ)は釣りのエサとして売られているので、これがうまく生き延びたのかもしれません。もともとここに生息していたとは思えません。

沼や小川などでは、広くヤチウグイ、フナ、トミヨが住んでいて、特に湿原では数が多いようです。ヤチウグイの1〜2センチメートルの稚魚は体が金色に輝き、熱帯魚にまけないくらいきれいです。

エゾトミヨトミヨの仲間にはエゾトミヨがいます。こちらはもう少し水のきれいな小川などにもいて、サケ科のオショロコマやヤマベ、アメマスと一緒に住んでいたりします。背中のトゲはほかよりも短く10本ほどあり、形もほかのトゲウオとくらべるとずんぐりしています。産卵期のトゲウオ類のオスは体を黒くさせ、巣をつくり稚魚を守ります。

トゲウオ科にはほかにイトヨがいますが、春から初夏にかけて産卵のため海からあがってくるので下流の海に近いところの岸で見ることができるかもしれません。背びれに3本、尻びれに1本のトゲをもち、トミヨにくらべて大きく、産卵期にはオスの腹部が赤くなり迫力があります。

町内で確認された植物はこちら→いきもの一覧(魚類)

文献

「フィールド図鑑 淡水魚」、川那部浩哉監修、東海大学出版会
「イワナの謎を追う」、岩城謙吉、岩波新書
「北海道の淡水魚」、稗田一俊・久保達郎監修、北海道新聞社
「山渓カラー名鑑 日本の淡水魚」、山と渓谷社
「原色魚類大図鑑」、株式会社北隆館


TOPページへ このページの先頭へ


  1. リンクはトップページ"index.htm"にお願いします
  2. ページや画像などへの直接リンクはご遠慮ください
  3. 掲載内容・写真の無断使用を禁止します
中標津町郷土館へメールを送る