Nakashibetsu Municipal folk Museum

2つの伝説が残されています。

伝説

1.「モアン川のヤマメ」

モアン山中標津町養老牛温泉の近くをモアン川という小さな川が流れています。

むかし、虹別のアイヌたちは春になると養老牛温泉を訪れ、男たちは熊狩りを、女たちはモアン川でヤマベ釣りをしていました。

このなかに虹別のコタン(村)で一番 美しい娘と一番勇敢な若者も入っていました。娘は若者に好意をいだいており、若者も同じ気持ちだったので、獲物がとれるといつも分け前を娘の家の前に置いていたのです

ところが、ある日若者は姿を消してしまいました。ひと月たってもふた月たっても若者のゆくえはわかりません。娘は若者が自分を嫌になって姿を消したのだと思い深く悲しみました。

しかしそれは娘の思いすごしでした。実は若者は熊と格闘の最中にあやまって摩周岳の火口底に落ち、ケガをして身を横たえていたのです。このことは風のたよりで娘の耳に入りました。

娘は驚き、家のものにもつげず摩周岳へ向かいました。その手には、ケガには薬のようにききめのあるモアン川のヤマベを持っていきました。ですが悲しいことに娘が摩周に着く前に若者は神に召されてしまったのです。

娘のなげき悲しむ姿をみた摩周のコタンの人たちは、死んだ若者を部屋に寝かせ、娘と二人だけにしてやりました。七日七晩泣きつづけた娘の声が消えたので、部屋をのぞいてみると娘は若者の胸で眠っていました。それからまた七日七晩が過ぎ、コタンの長老が声をかけてみると、驚いたことに二人の身体は一つになっていたのです。

娘の悲しみを知った神様が心も身体もひとつにしてあげたのでしょう。また神様は娘が持ってきたヤマベを生き返らせてモアン川へ帰してやりました

そのようなことから、モアン川のヤマベは骨も軟らかく、おいしい魚になったということです。

(中標津町小史・郷土の生い立ち)

2.「愛染ニレ(ふたりのハルニレ)」

丸山公園の片隅には、少し前まで根元を二本にした、一本のニレの木がありました。そのニレのことを、人は「愛染ニレ」と呼んでいました。

その昔のこと、根室平野を横断する標津川には、秋ともなれば「アキアジ」が群れをなしてのぼりました。河床をさえぎるほどのぼったアキアジは、アイヌ達の生活をうるおしていました。

その頃、標津川にのぼってくるアキアジは、虹別アイヌの暗黙の権利で、虹別アイヌは秋のアキアジ捕獲を一大年中行事としていました。ところがある年のこと、標津沿岸はかつてない大凶漁にみまわれました。サケを生活源とする標津アイヌにとっては死活問題となってしまい、ついには標津川へのぼるアキアジに手を出してしまいました。はじめのうちは河口でとっていたのですが、いつしか川上へ、川上へとアキアジを追っていきました。

こうなっては虹別アイヌも黙ってはいられません。アキアジは虹別アイヌにとっても、冬の生活になくてはならないものだからです。いくたびかのチャランケ(談判)のかいもなく、ついには血で血を洗ういくさにまで発展してしまいました。

虹別アイヌのコタン(村)で一番美しい娘「ツンランケ」と、標津アイヌの若者は、将来結婚を約束した仲でした。年に一度、中標津では虹別アイヌと標津アイヌの交易が行われていました。若い二人にとっては、それは一年に一度だけ会える日でしたが、今年の場合は交易どころではなく、いくさはますます激しくなる一方でした。

けれども、愛し合う二人のデートは、何者にもジャマすることのできないものがありました。しかし、ようやくの思いで会えた二人でしたが、喜びばかりではありませんでした。コタンの違う者どうしの結婚はただでさえむずかしいのに、いくさが始まってしまっては、二人の思いをあきらめるしかありませんでした。

二人はお互いの不運を嘆き悲しみ、泣き明かしました。

するとどうでしょう。その涙はいつしか雨となり、やがて大雨となり標津川をはん乱させました。木をなぎ倒し、山を割るほどの勢いの標津川はたけり狂いました。標津川の神様は、アイヌ達のみにくい争いを怒ったものの、若い二人の清い恋には温かい目でみてくれたようで、二人のいるところを迂回し、三日三晩荒れに荒れた標津川は、二つのコタンのいくさを終わらせました。

荒れた川がしずまり、晴れた秋空に落葉が舞い上がる中で、二人は血潮に染まっていました。

悲恋を嘆き、二人が天国の恋を結んだ所は今の丸山公園で、その愛染ニレは二人の血潮が芽になって成長したものだということです。

(中標津町小史・郷土の生い立ち)

※この伝説をもとに、絵本研究会で作成された『ふたりのハルニレ』という絵本が図書館にあります。

※このハルニレはすでにありません。下の写真がこの話のモデルとなった木だそうです。

愛染ニレのモデルの木1 愛染ニレのモデルの木2

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