Nakashibetsu Municipal folk Museum

中標津町在住の西村穣さんの植物コラム。

道端の野菜

グズベリ

グーズベリーの実夏の頃だろうか、トゲトゲの低木に透明がかった緑の実がびっしりと生っている。 おやつ代わりに食べるのだと友達は言うのだが、酸っぱくてひとかじりして吐き出した。少し赤くなっているのもあるのだが、おいしいと思ったことは一度もなく、何かにぶつけて遊んだ記憶のほうが多く残っている。

ヨーロッパ原産のセイヨウスグリという名の落葉低木で、別名マルスグリ、オオスグリという。英語ではgooseberryグースベリー(またはグーズベリー)である。英国ではグスバリと発音するらしい。
明治初期に移入されたものが開拓と同時に持ち込まれたのだろうか。国内では東北地方に多いとあるが流通量は少ない。
ヨーロッパでは普通に栽培され、甘い果実をジャムやゼリーに加工するのだが、この辺では果実酒にされている様子もないので色や味については期待できないのだろう。が、なぜ栽培していたのだろう。ほとんどの家にあり、酸味が癖になるというほど好きな人もいたようだが、砂糖をかけて食べるという選択肢もあるように思うが、それもあまりされていなかった、今ではほとんど見ない。人気のない謎の植物である。
4倍体なのか大粒の栽培種があり、たまにスーパーで売られている。見るだけで買う気は起らない。赤い種類もあるようだがこちらはお目にかかったことがない。

スグリは漢字で酸塊、英語のribsも語源は酸っぱいという意味だとか。そうでしょう、酸っぱいということでは昔から変わっていないということだ。
同じスグリでもクロスグリはカシスとも呼ばれこちらは少し甘さがあり、我が家でもブルーベリージャムといっしょに利用されている。カシスソーダなどカクテルにもありなんとなくおしゃれだが、グスベリソーダというのが仮にあったにしろ田舎くさい感じがする。偏見か。
ベリーと名のつくものはバラ科かとも思うが結構種類が分かれる。バラ科はストロベリーにラズベリー、ブルーベリーはツツジ科、グスベリとカシスはスグリ科、ハスカップはスイカズラ科、万能薬のようなPRをされている最近売出し中のシーベリーはグミ科とそれこそ多樹(岐)にわたる。
グースのスペルは水鳥のgooseと同じなのだが、実の形がガチョウの卵に似ているところだとか、ガチョウ料理に合うなどの説があり、ガチョウとのつながりはあるようだ。単独で食べるより合わせにするほうが向いているような気がするのでワタシは後者を支持したい。


道端の野菜TOPへ

TOPページへ このページの先頭へ


  1. リンクはトップページ"index.htm"にお願いします
  2. ページや画像などへの直接リンクはご遠慮ください
  3. 掲載内容・写真の無断使用を禁止します
中標津町郷土館へメールを送る