秋も深まると、各地から雪の便りが届きます。そして永く厳しい北国の冬がやってきます。
冬本番となり、真冬日(その日の最高気温が0度より上がらない日)が続くようになると、鳥好きの人達は、胸を熱くして白い鳥達の訪問を待ちます。
気圧配置が西高東低の冬型となり、シベリアから寒気団が下がってくると、中標津地方は、雪は降らないのですが放射冷却も手伝って、氷点下30度近くまで冷え込みます。
北緯43度に位置するこの地方でさえ、こんなに厳しい毎日ですから、更に北のシベリアやアラスカなどの北極圏の寒さはどんなものなのでしょうか。
これらの地方で繁殖する鳥達は、ほとんどの種類は秋になると南へ渡りますが、中には余り南下せず寒さの中でがんばっている仲間もいます。彼らは、いよいよ冷え込みが厳しくなったり、吹雪が続いたりする年には南へ移動して、はるばる北海道までやって来ることがあります。
彼らは、白一色の銀世界で暮らしているため、体の白い種類が多いので、鳥好き仲間が「白いやつ見たかい?」などと言葉を交わすのです。
白い鳥と言えば、真先に「オオハクチョウ」を思い浮かべる方が多いと思いますが、毎年のおなじみなので今回は省きます。
では、この地方に現れる可能性の高い珍しい白い鳥達をご紹介しましょう。
ワシタカ目ハヤブサ科に属するこの鳥は、体長が雄56p、雌61p、翼を開くと124〜132pで、ハヤブサの仲間では最大で、ハシブトガラスより少し大きい位です。
体の色は、淡色型、暗色型、中間型があり、淡色型は全身が白く、上面に少し黒い斑点と下面に少しの縦斑があるだけなので、飛んでいる姿はほとんど純白で、陽の光を受けると銀色に輝きます。
海岸や内陸の広い草原にやって来て、飛んでいる小鳥を捕らえて食べます。
中標津では、俵橋の大規模草地で淡色型の記録があります。
この鳥は、フクロウ目フクロウ科に属し、体長は60pで、北海道に生息する「エゾフクロウ」より一回り大きく真っ白なフクロウです。
雌には黒い斑点がありますが、雄には少なく純白に見えます。
耳羽(シマフクロウなどにある耳のように見える羽根)は無く、とまっている姿はまるで雪ダルマのようで、金色の目がクリクリしていてとても愛きょうがあります。
フワフワ〜と音も無く飛びますので、私が出合った時の印象は、まるで白いシーツかバスタオルが風に舞っているようでした。
根室半島や走古丹、野付半島等で記録がありますが、見た人は少なく、バードウォッチャーの憧れの鳥です。
スズメ目ホオジロ科に属するこの鳥は、体長16pでスズメより一回り大きく、雌は茶色が多いのですが、雄は全体に白い部分が多く、飛んでいる姿は、翼の両端を除けば真っ白です。
主に海岸地方に群れでやって来ることが多く、時には100羽以上の大群で飛び回る姿を見ることがあります。
中標津でも、シロフクロウとユキホオジロは広い草原などで見られる可能性があります。
以上、白い鳥の代表3種をご紹介しましたが、吹雪が止んだ快晴の日が出合いのチャンスですから、しっかり身支度を整えて牧場や海岸へ出かけてみてはいかがでしょうか。
(日本鳥類標識協会会員 阿 部 嗣)